ニュース
2013年03月27日
世界腎臓デー 腎機能チェックし慢性腎臓病(CKD)を早期発見

「慢性腎臓病(CKD)」は、腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態をいう。現在、日本には約1,330万人のCKD患者がいるとされる。これは、成人の約8人に1人にあたる数だ。
CKDで腎機能が低下してしまうと、それをもとの状態に戻すのは困難だ。腎臓の機能が10%以下にまで低下すると、人工透析や腎移植を受けなければ生きられなくなる。さらにCKDは、透析になるだけではなく、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になる。腎臓を守ることは、心臓や脳を守ることにつながる。
腎臓病の発症・進展には、生活習慣が多く関わっている。CKDを検査で早い段階で発見し、治療を開始し腎機能の低下を抑えることが大切だ。
基本となるのは原因に対する治療で、高血圧症や糖尿病の人は食事療法や運動療法とあわせて、必要に応じて薬物療法を行い、血圧や血糖値を適正にコントロールすることが腎臓病の予防・改善につながる。
そこで、安藤教授らがよびかけ、腎臓専門医らと2011年に「CKD啓発動画研究会」を設立、早期発見などを訴える動画をつくりインターネット上で配信をはじめた。パソコンやスマートフォンで手軽に視聴できる。

「音楽のみ、あるいはカラオケバージョンもダウンロードできますので、皆さんにも歌って踊ってYouTubeに投稿いただければ、CKDの認知度アップへの強力な後押しとなります」(安藤教授)。
クレアチニンとは血液中の老廃物のひとつで、通常であれば腎臓でろ過され、ほとんどが尿中に排出される。しかし、腎機能が低下していると、尿中に排出されずに血液中に蓄積される。この血液中のクレアチニンが「血清クレアチニン値」だ。
CKDの診断の指標となる検査値が「GFR値(糸球体ろ過量)」で、1分間に腎臓の糸球体をろ過してできる原尿の量を示す。90以上が正常。50未満になると腎臓機能が低下していると診断され、専門医の治療が必要となる。
GFR値を正確に測定するには厳密な検査が必要だが、定期健康診断の血液検査の項目でもある血清クレアチニン値がわかれば、推定GFR値を計算することができる。
検査結果の項目に推定GFR値が書かれていない場合は、日本慢性腎臓病対策協議会のホームページに自動で換算できるページが設けられている。検査結果をもとに血清クレアチニン値、年齢、性別を入力すると、推定GFR値を自分で知ることができる。
糖尿病の治療を受けている人は医療機関で、より精度の高い検査も受けられるので、主治医や医療スタッフに聞いてみよう。
腎症を発見するためには、微量アルブミン検査が有効だ。この検査は、微量の蛋白(アルブミン)を、感度のよい方法で尿から調べる検査方法。検査を受ける人にとっては、一般の尿検査の方法と変わらない。
一般に糖尿病腎症は血糖コントロールが悪いと、糖尿病の発病から10年以上たつと発症するといわれているが、2型糖尿病の人では、いつ頃発病したのかを正確に知るのは難しい場合がある。一般的に、検査で陽性と診断された人は、腎機能が低下していないか血液検査をあわせて行って、少なくとも年1回、微量アルブミン尿検査を受けるのがよいとされている。
関連情報
糖尿病による腎臓の病気(糖尿病セミナー)
CKD診療ガイドが改訂 重症度分類や降圧薬選択を変更(糖尿病NET)
おすすめニュースの関連記事
- 【Web講演を公開】2月は「全国生活習慣病予防月間」
今年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」 - 糖尿病患者さんと医療スタッフのための情報サイト「糖尿病ネットワーク」がトップページをリニューアル!
- インスリン注射の「飲み薬化」を目指すプロジェクトが進行中!ファルストマと慶応大学の共同研究による挑戦[PR]
- 小倉智昭さんが当事者として腎臓病のことを医師に質問!
- 世界の8億人以上が糖尿病 糖尿病人口は30年で4倍以上に増加 半分が十分な治療を受けていない
- 【世界糖尿病デー】糖尿病の人の8割近くが不安やうつを経験 解決策は? 国際糖尿病連合
- 【インフルエンザ流行に備えて】糖尿病の人は予防のために「ワクチン接種」を受けることを推奨
- 【11月14日は世界糖尿病デー】世界の5億人超が糖尿病 「糖尿病とウェルビーイング」をテーマに参加を呼びかけ
- 特集コーナー『腎臓の健康道~つながって知る、人生100年のKidney Journey~』を公開
- 【座談会】先生たちのSAP体験談2 インスリンポンプの新機能を使って