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2012年12月10日
果糖コーンシロップのとりすぎで糖尿病リスクが上昇
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- 食事療法

高果糖コーンシロップは甘味が強くコストの安い添加物として食品業界に受けいれられ普及した。フルーツジュース、炭酸飲料、洋菓子、菓子パン、ヨーグルトなど、甘味の多い加工食品に含まれている。
ごはんやパン、パスタ、穀類、いも類や野菜などに含まれる炭水化物が複合糖質であるのに対し、果糖やブドウ糖は吸収されやすい単糖類だ。果糖を多量にとり続けると血中の中性脂肪が上昇しやすくなるという研究が報告されている。
南カリフォルニア大学とオックスフォード大学の共同研究チームは、42ヵ国を対象に高果糖コーンシロップの消費量と2型糖尿病の有病率との関連を調べた。
高果糖コーンシロップの摂取量がもっとも多い国は米国で1人当たり平均で年間25kgの高果糖コーンシロップをとっており、2番目に高いのはハンガリーで16kgを摂取しているという結果になった。
日本、韓国、カナダ、ブルガリア、ベルギー、アルゼンチン、メキシコなども、高果糖コーンシロップの摂取量が比較的多かった。
「甘味の強い食品に対して強い食欲を感じる人は多い。しかし、高果糖コーンシロップのとりすぎは、糖尿病や肥満の増加につながるおそれがある。多くの国で糖尿病や肥満が増えているのは、懸念すべきことだ」と南カリフォルニア大学のマイケル ゴーラン氏(予防医学)は述べている。
「果糖はブドウ糖と異なるメカニズムで代謝される。肝臓でブドウ糖より早く中性脂肪に変えられる。このことが、果糖の消費の多い米国やメキシコで非アルコール性脂肪肝の有病率が上昇している一因となっている可能性もある」とゴーラン氏は指摘している。
「高果糖コーンシロップを多く摂取している国では、あまり摂取していない国に比べ、2型糖尿病の有病率が約20%上昇している。過剰な摂取は肥満にもつながる。注意が必要な成分として、トランス脂肪酸や塩分などと同じように扱った方がよい。糖尿病が増加している国では、食品ラベルに表示するなどして、注意を促す必要があるだろう」と研究者は結論付けている。
High fructose corn syrup linked to diabetes(南カリフォルニア大学 2012年11月28日)
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