ニュース
2012年12月04日
中高年の女性に必要な運動は1日6,000歩のウォーキング
- キーワード
- 運動療法
また、女性は男性に比べ心筋梗塞などの発症は少ないが、閉経に伴う女性ホルモンの減少により、それまで抑えられていた悪玉のLDLコレステロールが急増しやすいことが知られている。LDLコレステロールの高い状態が長年続くと、2型糖尿病や高血圧、心臓病など生活習慣病の危険性が高まる。
研究チームは、ブラジル南部のパソフンド市に在住している45〜72歳(平均年齢57歳)の女性292人を、住民健診をもとに抽出した。日常で活発に体を動かしている女性と、不活発な女性とで、生活習慣病のなりやすさにどれだけ差が出るかを調査した。
参加者に7日間、血圧や体重、歩数を毎日計測し、記録してもらった。さらに、血液検査を行いコレステロール値や血糖値を調べた。ウエスト・ヒップ比や内臓脂肪の蓄積、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の既往歴などの危険因子についても調査した。
対象者を歩数によって、(1)1日の歩数が6,000歩以上、(2)6,000歩未満、の2つのグループに分けた。1日の平均歩数は、(1)のグループは9,056歩で、(2)のグループは3,472歩で、全体の平均は5,251歩だった。
その結果、歩数の少ないグループでは、内臓脂肪の蓄積や肥満が多くみられ、総コレステロール値やLDLコレステロール、血圧値も高い傾向がみられた。これらは動脈硬化の原因となり、動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞のような深刻な病気をまねく。
「中高年の女性がメタボリックシンドロームや生活習慣病を防ぐためには、1日6,000歩を歩くことが基本となる。1日当たり1時間のウォーキングが、6,000歩に相当する」と研究者は述べている。
1日に外出する機会の多い人は、歩数が増える傾向が高いことも分かった。また、歩数計を身につけると、歩数を増やす意欲が高まることも示された。
研究者らは、体を活発に動かす習慣のない閉経後の女性に次のことをアドバイスしている。
・スーパーマーケットや職場へ車で移動するときは、駐車場の遠くに車を停めましょう。
・なるべくエレベーターやエスカレーターを使わないようにし、階段を上り下りしましょう。
・空いた時間を利用しウォーキングをしましょう。
・夕食後のひとときを家族や友人といっしょにウォーキングをしましょう。
この研究は、ブラジル科学技術開発局の助成を得て行われたもので、北米閉経学会が発行する医学誌に発表された。
Daily steps add up for midlife women's health(北米閉経学会 2012年11月21日)
運動療法の関連記事
- 運動と健康的な食事の組み合わせで効果は最大に 内臓脂肪が減り転倒も防止 女性にも運動が必要
- ウォーキングなどの運動で糖尿病リスクを減少 余暇時間の運動が寿命を4.5年延ばす 仕事の後は体を動かす習慣を
- ウォーキングなどの運動で糖尿病など19種類の疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防
- ウォーキングなどの運動は糖尿病の人に良い 運動で食欲も抑えられる 認知症の予防にもつながる
- 糖尿病の人に「不規則な生活」はなぜNG? 体内時計が乱れるとインスリン作用が低下 どうすれば改善できる?
- ラジオ体操などにより要介護や認知症のリスクが低下 体操は取り組みやすく続けやすい
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- 良い睡眠は糖尿病リスクを減らす 睡眠は「魔法の薬」 3つの方法で改善
- 座っている時間が糖尿病や肥満のリスクを上昇 わずか10分間の運動で血管が健康に 睡眠も改善
- 少し食べすぎただけで糖尿病? ストレスが糖尿病や肥満の原因に ウォーキングなどの運動でストレスを解消