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2012年12月05日

高齢者の「隠れ低血糖」 軽度な低血糖を調査

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 日本臨床内科医会は、高齢患者の糖尿病治療における血糖コントロールで見落とされがちな低血糖リスクの軽減を主目的とした「高齢糖尿病患者生活向上プロジェクト(スマイルプロジェクト)」を、2012年11月に開始した。

 同プロジェクトは、低血糖リスクの軽減や食後高血糖の改善を含む、より質の高い血糖コントロールの啓発を通じて、高齢糖尿病患者の暮らしの質を向上させることを目的とした医療提案プロジェクト。

 活動内容として、以下の3項目を予定している。
(1)高齢の2型糖尿病患者を対象とした1万人大規模の調査「SMILE STUDY」
(2)医療従事者への啓発を目的とした「座談会・講演会」
(3)患者への啓発を目的とした「啓発資料の配布」

 「SMILE STUDY」は、低血糖に関する実態調査とより質の高い血糖コントロールを目指した調査研究で、2012年11月より2年間で1,000〜1,500施設で合計1万例の調査を実施する予定。

 60歳以上のシニア層は、日本人成人の糖尿病患者の約6割を占める。高齢患者では、若年患者に比べ適切な血糖コントロールが難しいため、食後高血糖に加えて低血糖によるさまざまな症状や合併症が発現しやすくなっている。

 高齢患者では、日常生活での疲れや歳をとったことで起こる症状と類似しているため、軽度な低血糖が見逃されていることがよくあるという。

 日本臨床内科医会は2012年10月に、65歳以上の男女208名を対象に、低血糖の実態把握を目的にプレ調査を実施した。それによると、約4人に1人は最近1年間で低血糖によると思われる症状を経験していたという。一方で、約半数が日常生活における低血糖対策を実施していない現状が浮き彫りとなった。

 「多くの高齢糖尿病患者で、軽度な低血糖の症状が起こっているとみられる。その症状に注意することが、より安全な治療と質の高い血糖コントロールにつながる。低血糖が引き起こすリスクの軽減について、患者さんと医療関係者、双方への啓発が必要だ」と述べている。

 同プロジェクトには、サイエンティフィックアドバイザーとして門脇孝・東京大学大学院医学系研究科代謝栄養病態学(糖尿病・代謝内科学)教授と、横手幸太郎・千葉大学大学院医学研究院細胞治療内科学教授が協力する。また、日本医師会が後援する。

日本臨床内科医会

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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