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2012年12月06日
肥満メカニズムを発見 褐色細胞の働きに着目
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東北大学の山田哲也准教授らの研究グループは、過食によって肝臓で糖代謝が高まると、肝臓から脳、褐色脂肪細胞へと神経シグナルが伝わり、カロリー消費が抑えられることを発見した。この仕組みが肥満を引き起こしているとみられる。今後、肝臓から脳へのシグナルを改善することが可能になれば、2型糖尿病やメタボリックシンドロームの予防・治療法の開発につながることが期待できるという。
脂肪細胞には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞のまったく働きの異なる2種類の細胞がある。白色脂肪細胞は、皮下や内臓の周囲など、体全体に広く分布する。エネルギーの過剰摂取に伴い白色脂肪細胞に脂肪が蓄積されて細胞が肥大する。 一方、褐色脂肪細胞では、白色脂肪細胞とは逆に、脂肪が燃焼される。褐色脂肪細胞は、首周り、脇の下、肩甲骨の周り、腎臓などに存在し、ミトコンドリア量が多いため、褐色をしている。このミトコンドリアにある熱産生タンパク質により、余分なエネルギーが熱に変換されて放出される。 東北大学の山田准教授や片桐秀樹教授らの研究グループは、これまでの研究で、栄養過多になると褐色脂肪によるカロリー消費が活発になり、すぐには体重が増えないようにする仕組みがあることをあきらかにした。 しかし、この仕組みが十分に機能すれば、理論的には、過食があっても肥満はおこらないはずだ。実際には、肥満者の数は世界的に増加しており、糖尿病の食事療法がうまくいかないという患者も多い。また肥満者においては、褐色脂肪の働きが悪くなっているという研究報告もあり、そのメカニズムは解明されていなかった。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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