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2012年09月14日

糖尿病患者の半数以上はコレステロール管理が不十分

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糖尿病合併症
 糖尿病患者の60%近くはコレステロールの管理が不十分との調査結果を、英国糖尿病学会(Diabetes UK)が発表した。1年に1回以上、血清脂質の検査を受け、検査値について主治医とよく相談することが重要だという。

 糖尿病をもつ人々のほとんどが、1年に1回以上の血清脂質の検査を受けているにもかかわらず、60%近くはコレステロールの管理が不十分との調査結果を、英国糖尿病学会(Diabetes UK)が発表した。

 これは、英国の国営医療サービス(NHS)が主導し、全国のクリニックの糖尿病に関するデータを集める事業である「英国糖尿病検査データ(National Diabetes Audit data)」の調査結果をまとめたもの。英国の糖尿病患者数は約370万人に上る。うち190万人から検査データを収集した。

 それによると、糖尿病患者の91.6%はコレステロールなど血清脂質の検査を定期的に受けているが、コントロール指標を達成している患者は4割程度にとどまった。

 糖尿病は、狭心症や心筋梗塞などの心疾患や、脳卒中の危険性を高める。英国では、2型糖尿病が糖尿病全体の90%以上を占める。2型糖尿病患者の52%、また1型糖尿病患者の44%の死因は心疾患だという。また、糖尿病と診断されて5年以内の人が脳卒中を発症する危険性は、人口全体に比べ2倍に高まる。

 「脂質異常の治療は、糖尿病の治療においても大変に重要だ。しかし、実際には検査を毎年行っているにもかかわらず、多くの糖尿病患者のコレステロール管理は十分ではなかった。その理由は不明だ」と英国糖尿病学会のバーバラ ヤング氏は話す。

 「コレステロール値は、血圧値や血糖値の影響を受ける。もしもあなたの血糖と血圧が高ければ、コレステロール値も高くなっている可能性がある。これらは、心臓病や多くの糖尿病合併症の危険因子となる」とヤング氏は強調する。「自分の検査値について、主治医に相談してみよう。危険を低下させるステップを進めば、より長く、健康に生活できるようになる」。

 血清脂質の検査値を改善するために、糖尿病患者が行うべきことは次のことだ――

  • 検査を受け、少なくとも1年に1回以上は、コレステロール値や中性脂肪値をチェックする。

  • たばこを吸う人は禁煙する。

  • 過体重や肥満の人は減量し、標準体重を維持する。

  • なるべく毎日、運動をする。1日に30分の活発なウォーキングが目標。

  • 低脂肪・低コレステロールの食品を食べる。野菜、全粒粉、果物を十分にとる。

  • 不飽和脂肪酸を十分にとる。不飽和脂肪酸は、青身魚、キャノーラ油、オリーブ油などに多く含まれる。魚油を高純度に精製、製剤化した医薬品も治療に使われている。
 高コレステロール血症の治療にもっとも多く使用されているのはスタチン系のコレステロール低下薬だ。この薬剤は、肝臓でのコレステロール合成を抑え、悪玉のLDLコレステロールを減少させる。薬物療法を行うことで、血中脂質の状態が改善し、動脈硬化の進展が抑制される。

 「スタチンのような薬物を処方することは多くの場合で適切だろう。しかし、薬物の処方数を増やすのは、長期の安全性や、潜在的な副作用について十分に確かめてからにしても遅くない」とヤング氏は指摘している。

More than half of people with diabetes have poor cholesterol control(英国糖尿病学会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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