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2012年09月13日
「怒りっぽい性格」が脳卒中リスクに
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- 糖尿病合併症

性格による行動パターンの分類は、1950年代に米国で提唱された考え方。タイプAは性格・行動パターンが攻撃的、挑戦的で、責任感の強い人をさす。そうした人ほど、心・血管疾患になりやすいと考えられている。
タイプAは「最小限の時間で、多くのことをやりとげようと、しばしば他人との競争や環境内のプレッシャーとの闘争を強いられている状況」であるといわれている。いわば、慢性的にストレスを受けている状況にあり、これにさらにストレスが加わったときには、反応はいっそう強められる。
タイプA以外にはタイプBとタイプCがある。タイプBの行動パターンはタイプAと真逆の性格で、消化性潰瘍や過敏性腸症候群になりやすいといわれる。C型行動パターンはB型に似ているものの、感情を抑えることが多い性格。こちらはがんになりやすいとされている。
研究では、過去に脳卒中を発症したことのある150人の成人(脳卒中群)と、無作為に選んだ健康な成人300人(対照群)を比較した。研究対象者の年齢は両群ともに18〜65歳未満で、平均年齢は54歳だった。毎日のストレス度を(1)人生の出来事、(2)不安や抑うつ、(3)生活の質(QOL)、(4)タイプA行動パターンから評価した。
調査の結果、(1)の項目の得点が高い人は、低い人に比べ脳卒中リスクは3.84倍になった。また、(4)の項目が高得点の人でも、リスクは2.23倍に上昇した。
同じストレスであっても、受け取り方のタイプが異なるために、個人にとってのストレスは過剰に大きく、後に大きな影響を残すことになる。そのため、タイプAの行動パターンは心筋梗塞・狭心症の危険因子になるとされている。
タイプA行動パターンは次の項目に多く当てはまる人とされている――。
▽生活が忙しい、▽いつも時間に追われている、▽仕事に熱中しやすい、▽仕事に熱中すると気持ちの切り替えをしにくい、▽徹底的にやらないと気が済まない、▽自分の仕事などに自信をもっている、▽緊張しやすい、▽いらいらしやすい、怒りやすい、▽きちょうめん、▽負けず嫌い、▽気性が激しい、▽仕事などで他人と競争意識を持ちやすい。
研究を行ったスペインのサンカルロス大学病院の神経学者Jose Egido博士は、「性格や行動パターンを変えるのは困難だが、環境を変えたり、ストレスが多い生活に順応することで、その影響を改善できる。一般的には、行動療法、リラクセーション、健康的な食事、運動療法、生活指導などのカウンセリングなどを行うと、脳卒中を予防できる」と述べている。
Chronic stress linked to high risk of stroke
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