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2012年07月19日
第2次健康日本21 糖尿病合併症の減少に向けて数値目標
- キーワード
- 糖尿病合併症
糖尿病およびその合併症を抑制していくことが重要であることから、糖尿病対策に関する指標については、一次予防、二次予防、三次予防が設定された。
- 合併症(糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数)の減少
- 治療継続者の割合の増加
- 血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少
(HbA1cがJDS値8.0%(NGSP値8.4%)以上の者の割合の減少) - 糖尿病有病者の増加の抑制
- メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少
- 特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上

一次予防は「糖尿病の発症予防」。「糖尿病有病者の増加の抑制」が具体的な目標として掲げられた。糖尿病有病者の増加を抑制できれば、さまざまな糖尿病合併症を予防することにもなる。

二次予防は「糖尿病の合併症の予防」。「治療継続者の割合の増加」と「血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少」を指標とする。未治療であったり、治療を中断したりすることが糖尿病合併症の増加につながる。また、治療を継続し、良好な血糖コントロール状態を維持できれば、糖尿病による合併症の発症を抑制することができる。
特に糖尿病における治療中断を減少させることは合併症抑制のために必須となる。2010年国民健康・栄養調査では、「医療機関や健診で糖尿病と言われたことがある」と回答した者のうち、「過去から現在にかけて継続的に受けている」または「過去に中断したことがあるが、現在は受けている」と回答した割合は63.7%だった。治療継続率を2023年までに10%引き上げ、75%にすることが目標とされた。

コントロール不良者の割合の減少については、兵庫県尼崎市の調査で、HbA1c(NGSP値)8.4%以上であった人の割合は、2007年度から2010年度に2.0%から1.1%に減少した。これを受けて、現状の1.2%から、2022年度までに1.0%に引き下げる目標が掲げられた。

三次予防は「合併症による臓器障害の予防・生命予後の改善」。糖尿病の合併症のうち、個人の生活の質への影響と医療経済への影響とが大きい「糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数の減少」を指標とする。
糖尿病腎症による新規透析導入患者数は、年間約1万6,500人で推移している。正常域を超えて血圧が上昇すると、それが軽度であっても透析導入のリスクとなることが国内外の研究によってわかっている。高血圧を改善できれば、新規透析導入患者数の増加が抑えられ、結果として糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数を減少できる。
健康日本21(第2次)では、収縮期血圧の平均値を4mmHg低下させることを目標としている。収縮期血圧10mmHgの変化は男性で1.21、女性で1.30の透析導入への相対危険度の変化をもたらすことが報告されている。これにもとづいて、糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数を2022年度までに1万5,000人に減らすことが目標とされた。

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