ニュース

2012年07月09日

ウォーキングが糖尿病の危険性をとりのぞく

キーワード
運動療法
 適度なウォーキングは、どこでも取り組めるもっとも手軽な運動法だ。運動は心肺機能を強化し、体重を減らし、ストレスを軽減し、血糖コントロールを改善する。「ウォーキングの歩数を増やすことが、糖尿病の危険性を減らすことが実際に確かめられた」と米ワシントン大学の研究者らが発表した。

 研究に参加した1,826人の男女のうち、約25%は1日の歩数は3,500歩未満で、50%は7,800歩未満だった。研究の開始時に参加者は糖尿病や心疾患を発症していなかった。結果として、1日の歩数が5,400以上7,800歩未満の人では、2型糖尿病を発症するリスクは26〜29%低下していた。

 「糖尿病の遺伝要因をもっている人でも、1日1時間を活発なウォーキングに費やすと、肥満になる危険性を半分に減らすことができる。逆にテレビの前で過ごす時間が1日に4時間を超えると、肥満の遺伝影響は50%も上昇する」とワシントン大学のAmanda M. Fretts氏(内分泌代謝学)は話す。

 「ウォーキングなどの適度な運動は、カロリーを燃焼し肥満の解消につながるだけでなく、体力増強やインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性の改善にも役立つ。すべての人に運動は勧められる。1日の歩数を1万歩にすることを目標に、ウォーキングに取り組んでほしい。距離にすると約8kmに相当する」としている。

 ウォーキングを無理なく続けるために、次の工夫が役立つ。

  • 1日の歩数を5〜10分ずつ、歩数にすると500歩ずつ増やしていく。毎日続けることで体力がつき、歩数は自然に増えていく。

  • ウォーキングの姿勢をよくするために、手に荷物を持たない。肩から下げるバックやリュックサックを常用する。

  • 運動前に約240mL(8オンス)の飲料水を飲む。

  • 運動の時間をつくりにくい場合は、近所の学校やコミュニティーセンターを利用したり、買い物の時間にウォーキングをするなど工夫する。

  • 歩数計を持ち歩き、歩数を数える習慣をもつ。歩数が増えていくと、運動への意欲が増す。歩数計は高価なものである必要はない。

  • ウォーキングのパートナーをもつ。互いに励ましあうことで、ウォーキングの時間を楽しいものに変えていくことができる。会社の同僚と歩くと、コミュニケーションに役立てることもできる。

  • パートナーと歩くときは、ときどき会話ができるぐらいの運動強度が適度だ。呼吸ができないくらいの激しすぎる運動は避ける。

Modest Levels of Physical Activity Are Associated With a Lower Incidence of Diabetes in a Population With a High Rate of Obesity Diabetes Care, June 20, 2012, doi: 10.2337/dc11-2321

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲