ニュース
2012年05月21日
フラボノイドが2型糖尿病患者の健康に良い
- キーワード
- 食事療法

フラボノイドを食事でとると、2型糖尿病の女性で、心臓病の危険性が低下するという研究が発表された。フラボノイドは植物に広く含まれる色素成分の総称で、主に野菜や果物などから多くの種類が発見されている。お茶や、カンキツ類やブドウ、ベリーなどの果物の果皮に多く含まれる。
フラボノイドが女性の心臓病の危険性を低下
フラボノイドを豊富に含んだ食事を習慣的にとると、糖尿病の治療にとってもよいことが、12ヵ月のトライアル調査によりわかった。この研究は、英イーストアングリア大学の研究者らが発表したもので、米国糖尿病学会が発行する医学誌「Diabetes Care」に発表された。
2型糖尿病のある閉経後の93人の女性がトライアルに参加した。参加者の年齢は51〜74歳だった。閉経後の女性の糖尿病患者は、心臓病の危険性が高いことが知られる。研究に参加した患者は、血中のコレステロール値を低下させるスタチンを服用していた。
2つのグループに分け、片方にはフラボノイドの多いチョコレートバー、もうもう片方には通常のチョコレートバーを毎日食べてもらった。研究で使ったチョコレート・バーは、ココアとお茶に含まれるフラボノイドの分子集合である「flavan−3−ols」と大豆にあるイソフラボノイドを特別に強化したもの。
その結果、フラボノイドを多く摂取したグループでは、10年間に心臓発作が起こる危険性が3.4%ずつ低下した。「糖尿病患者にとって、心臓病を予防するために、食事が大切であることがあらためて示された。フラボノイドの摂取によって、インスリン抵抗性とコレステロール値は、大きく低下していた」と英国のイーストアングリアのノリッチ医科大学のAedin Cassidy教授(栄養学)は話す。
「糖尿病の女性がフラボノイドを多くとると、心臓病の危険性を減らすことができることがわかったことは大きい。今後の、フラボノイドを強化した食品の開発などにつながる成果だ」と研究者らは話す。
フラボノイドは緑茶や、柑橘類やブドウ、ベリーなどの果物の果皮に多く含まれる。研究で使用したチョコレートは、フラボノイドを強化した特別なものだ。「一般的なチョコレートは高カロリーなので、食べすぎには注意が必要となる。食事の総カロリーが増えると肥満の原因になる。食事のバランスが乱れるのは避けた方がよい」とアドバイスしている。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
食事療法の関連記事
- 魚を食べている人は糖尿病リスクが少ない 魚は脳の健康にも良い 中年期の食事改善は効果が高い
- 朝食をしっかりとると糖尿病が改善 血糖管理に大きく影響 朝食で「お腹ポッコリ」肥満を予防
- 「超加工食品」の食べすぎは糖尿病リスクを高める 筋肉の質も低下 「自然な食品」はリスクを減らす
- 糖尿病の食事に「ブロッコリー」を活用 アブラナ科の野菜が血糖や血圧を低下 日本でも指定野菜に
- 糖尿病の人はビタミンやミネラルが不足 「食の多様性」が糖尿病リスクを下げる 食事バランスを改善
- 糖尿病の人は脂肪肝にご注意 ストレスはリスクを高める 緑茶を飲むと脂肪肝が減少
- 「玄米」で糖尿病を改善 食事では「低GI食品」を活用 血糖値を上げにくい新しい米を開発
- ウォーキングなどの運動は糖尿病の人に良い 運動で食欲も抑えられる 認知症の予防にもつながる
- アルコールの飲みすぎは危険 糖尿病・高血圧・肥満のある人は肝臓病リスクが2.4倍に上昇 飲酒により糖尿病リスクが上昇
- 【Web講演を公開】2月は「全国生活習慣病予防月間」
今年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」