ニュース
2012年05月21日
肥満は敵? 克服するための3ヵ条
- キーワード
- 糖尿病と肥満
オーストラリアの研究者が、3つの肥満対策を施すと2型糖尿病の負担を軽減できるという研究を発表した。フランスのリヨンで5月に開催された「第19回欧州肥満学会」で発表された。
オーストラリアでも糖尿病は急増しており、専門家の予想によると、2025年までに糖尿病有病数は200万人以上に上昇し、有病率は11.4%に達するという。 「糖尿病は糖尿病腎症や網膜症、足病変など、深刻な合併症を引き起こす。糖尿病合併症は患者に大きな負担をもたらすだけではない。医療費や社会的な負担も深刻だ。糖尿病合併症は適切に対策すれば予防できる。糖尿病の治療は進歩しており、糖尿病とともに長生きする人は増えている。それに伴い糖尿病の医療が増えていることも課題となる」とメルボルンのベイカーIDI心臓・糖尿病研究所のJonathan Shaw教授は話す。 Shaw教授らが提案した、糖尿病を防ぐための対策3ヵ条は次の通り―― (1)「ジャンクフード」税の導入
肥満の原因のひとつは、カロリーは高いが、ビタミンやミネラルや食物繊維があまり含まれないスナック菓子などジャンクフード。ジャンクフード税を導入し、食品の価格を上げると消費を減らせる。結果として、体格指数(BMI)を平均で約0.5減らすことができると見込まれている。ジャンクフード税で得られた税収は、糖尿病や肥満の対策や研究費にあてる。
(2)糖尿病リスクの高い人に保健指導を実施
血糖値が高く糖尿病を発症するリスクの高い人や、血圧の高い人に対し、集中的な保健指導を行い行動変容を促すと効果が高い。8〜12ヵ月で体重の5%以上を減らすことを目標に、▽食事でとる脂肪や飽和脂肪酸を減らす、▽食物繊維の増加、▽週に4時間以上の適度な身体活動を行う、といった6つのアドバイスを行い生活習慣改善を促す。
(3)肥満対策の徹底
糖尿病と肥満症を合併し、肥満度の高い患者は適切な外科療法を受けられるようにする。2型糖尿病患者についても、重症肥満に対する治療として外科治療(減量手術)を行うことで、長期間の減量効果が維持されることが臨床試験で確かめられている。
「このうちもっとも有効なのは、生活スタイル介在プログラムを集中して実施することだろう。糖尿病を発症する危険性の高い人を早い時期にみつけ、生活習慣を健康的に変えていく対策を行うことは、糖尿病を発症したときでも、将来の合併症の発症の予防につながる」と研究者らは述べている。
19th European Congress on Obesity
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病と肥満の関連記事
- 「和食」が認知症リスクを低下 日本型の食事は脳の健康にも良い 糖尿病の人は認知症リスクが高い
- 糖尿病の人のメンタルヘルスを改善 手軽にできる3つのストレス解消法 心と体をケア
- どんな食事スタイルの人が糖尿病リスクが高い? 食事を改善する簡単な方法「食べることに意識を集中」
- 暑い夏の水分補給 甘い飲み物を水に置き換えると糖尿病リスクは低下 食事改善にも役立つ「上手な水の飲み方」
- ブルーベリーが腸内環境を健康にして糖尿病や肥満を改善 メントールから抗肥満・抗炎症の化合物
- 緑茶を飲んでいる人は糖尿病リスクが低下 心臓病や脳卒中が減少 緑茶は歯周病の予防にも良い?
- 今年も猛暑に 「良い睡眠」で対策 睡眠不足は糖尿病を悪化 暑い夏の夜でもぐっすり眠る3つの方法
- 日本人がどれだけ運動・身体活動をしているかを調査 若年・中年・女性は運動不足が多い
- なぜ男性は女性よりも糖尿病リスクが高い? メカニズムを解明 男性はインスリンの働きを高める対策が必要
- 「豆類」が糖尿病リスクを減少 血糖管理が改善し合併症リスクが低下 豆は食事の質を高め栄養も豊富