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2012年05月15日

第55回日本糖尿病学会 糖尿病の最新研究を集約 17日から横浜で開催

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 第55回日本糖尿病学会年次学術集会(JDS 2012)が5月17日から3日間、パシフィコ横浜、パンパシフィック横浜ベイホテル東急で開催される。メインテーマは、糖尿病学会“アクションプラン2010”からの引用した「DREAMS come true」。災害時医療、再生医療、インスリン分泌と抵抗性、新しい糖尿病治療薬、腎症と神経障害、大規模臨床試験など19のテーマ(セッション)で構成されるシンポジウムや、未決着テーマの論点を整理し、解決への道筋を導くための新企画「From Debate to Consensus(ディベートからコンセンサスへ)」など、DREAMSの実現に向けたさまざまな企画が用意されている。

 抄録集はスマートフォンの専用アプリで見ることができる(iOS版とAndroid版)。JDS 2012のホームページからダウンロードできる。

新たな糖尿病治療戦略や再生医療、災害時医療まで、話題のテーマめじろ押し
 JDS 2012におけるシンポジウムは19セッション。まず、1型および2型糖尿病における最先端の研究について、「シンポジウム1:2型糖尿病 インスリン分泌」と「シンポジウム2:再生医療による糖尿病薬の可能性」が開かれる。

 前者において治療面では、メタボロミクスにより解明されたインクレチンのインスリン分泌増強機構について紹介する。後者では、膵β細胞や膵島細胞の再生に関する国内外での最先端の取り組みが検討される。

 また、生活習慣病の共通した基盤病態とされ、いまだに解明されていない部分が多い慢性炎症についても、「シンポジウム3:慢性炎症とインスリン抵抗性」を通じて両者の関連についての研究成果が報告される。

 新たな糖尿病治療戦略として、インクレチン分泌を促進する薬物や栄養素に関心が集まっているが、インクレチンの分泌制御メカニズムはまだ不明の点が多い。「シンポジウム6:インクレチンの解明から治療薬の進化(Bydureonも含めて)」「シンポジウム10:糖尿病における新規治療薬(含む:SGLT2、GPR40)」では、インクレチン関連薬の最前線から、その開発が進められているSGLT2阻害薬やGPR40選択的作動薬などの新規治療薬まで、治療における位置付けや可能性をめぐる議論が繰り広げられる予定。

 2011年3月11日の東日本大震災を機に、災害時医療があらためて注目を集めている。「シンポジウム4:災害時の糖尿病診療」では、大災害の発生で浮き彫りになった災害時の対応関する報告が行われる。

 WHOは慢性疾患を抱える患者の災害時の緊急度を3段階に分けており、1型糖尿病患者は透析患者などと同じもっとも緊急性の高いグループ1に分類し、2型糖尿病患者は次に緊急性の高いグループ2に分類している。日本糖尿病学会は調査委員会を組織し、震災の被災地の医療施設に対して大規模なアンケートを実施した。シンポジウムでは医師対象のアンケート結果が発表される。

日本糖尿病療養指導士や大規模研究に基づくエビデンスなども網羅
 糖尿病全般と療養指導に精通した日本糖尿病療養指導士(CDEJ)の意義は大きいが、一般市民や医師会などではまだ十分に認知が拡がっていない。「シンポジウム9:CDEJの展開と深化に向けて」では、CDEJに期待される役割と課題について提言が行われる予定。

 また、最近の世界的なホットトピックスの1つになっている糖尿病とがんの関連についても、「シンポジウム11:糖尿病と癌」でそれぞれの領域の専門家によるレビューや考察が発表される。日本人の2人に1人ががんになるといわれ、糖尿病患者も増加の一途をたどっている。両疾患の関連性に対する検討が進められている。

 妊娠糖尿病(GDM)の定義は2010年に変更された。「シンポジウム12:糖尿病と妊娠―進歩する母児医療―」では、持続血糖測定(CGMS)を使用しインスリン注射からCSII(インスリンポンプ療法)に変更した糖尿病合併妊婦例などが紹介される。

 さらに、日常臨床における治療選択肢を考える上で欠かせない大規模介入研究・観察研究についても「シンポジウム13:大規模試験からのメッセージ」で取り上げる。JDCSや久山町試験といった国内の試験データだけではなく、ACCORD試験やADDITION-Europe試験といった海外の大規模試験についても米国のミネソタ州立大学などから来日する専門家による発表が行われる。

日本人にもっともふさわしいカーボカウントを
 今学術集会の目玉の1つとされる新企画「From Debate to Consensus」は、ディベートの優劣を競う従来型のセッションをひと工夫し、未解決のテーマについて論点を整理した上で解決への道筋を示すコンセンサスづくりに向けた前向きな提言を行うとしている。「CSII導入フロンティア」、「運動療法の治療ガイド作成」、「インスリンと経口薬の併用療法」、「GAD抗体低値」、「適正な食事中の糖質量」、「カーボカウントの意義と活用」、「糖尿病腎症の進行予防」という7つのセッションが開催される。

 米国では食事療法の主流になっておりわが国においても関心の多いカーボカウントについては、「From Debate to Consensus 6:『食品交換表』を用いるカーボカウントの意義と活用」において、糖尿病専門医のほか、人間・環境学や管理栄養士などの専門家らが一堂に会し、わが国におけるカーボカウントの在り方について議論が交わされる。

 石田均氏(杏林大学第三内科教授)は、「食品交換表にもとづくタンパク質や脂質の質の考慮も同時に行うべきで、日本人にとって最もふさわしいカーボカウントへの道を切り開くことが重要」と意気込みを語っている。

第55回日本糖尿病学会年次学術集会

[ Terahata ]

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