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2012年05月21日
野菜はわかりやすい場所に置くと量を増やせる
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リンゴとニンジンがはっきり見えるように置いてある場合、被験者がそれらを食べる回数が多かったという。この研究は、ニューヨーク州にあるセント・ボナベントゥラ大学の研究者らによるもので、専門誌「Environment & Behavior」に発表された。
研究チームが96人の大学生を対象に実施した研究で、スライスしたリンゴとニンジンを透明なボウルと不透明なボウルに入れ、被験者から2メートル離れたテーブルの上に置いた。学生たちには、リンゴとニンジンが容器に入れられるところを見せ、いつでも食べてよいことも知らせた。
学生を1人にして10分ほど観察した結果、不透明な容器に入ったものより、透明な容器に入った食品を手に取る行動がより多く観察された。研究ではまた、被験者がニンジンよりも糖分の高いリンゴを食べる傾向も見られた。
果物には果糖など糖分が含まれ豊かな甘味がある。一方、ニンジンやピーマンなど野菜の中には、香りと苦味の強いものがある。多くの人は苦い野菜よりも、甘い果物に手をのばしがちだ。
「糖分の多い高カロリーの食品を好んで食べたくなるのは、それがおいしいだけでなく、エネルギーが多いことに脳が反応しているからだ」と研究者は説明する。
脳内には「ドーパミン」と呼ばれる神経伝達物質がある。ドーパミンは欲求が満たされたときに活性化され、快の感覚を与える「快感神経系」に働きかける。報酬を得たいという欲求や期待、行動の動機付けや、学習の強化因子として影響していると考えられている。
「ニンジンよりもリンゴの方が糖分は多い。リンゴの方がニンジンよりも、視覚的に反応しやすい可能性がある」と説明している。腸から吸収される栄養素が脳の報酬系に直接に働きかけ、高エネルギー食品を好んで摂取したくなる生理的な仕組みができている可能性があるという。
「野菜をより多く摂取するためには、あらかじめ野菜を目に付きやすい、わかりやすい場所に置いておくとよいかもしれない」と研究者は指摘している。
野菜を間食にとるときは食品用スケールを用意し、100gの食物を目安にするとよいという。100g当りのカロリーは、ゆでたニンジンは40kcal、生トマトは30kcal、トウモロコシは100kcal、エンドウマメは150kcal、蒸したジャガイモは90kcal、ゆでたカブは20kcalが目安になる。
食生活を野菜中心に変えるときは、野菜、果物、豆類、全粒粉、ナッツ類、低脂肪の乳製品などを組み合わせると、さらに効果的だ。
野菜は低飽和脂肪・低コレステロールが多く、食物繊維が多い。菜食主義の食生活をおくる人を対象にした研究で、野菜を中心として食生活は、炭水化物をコントロールしやすく、減量やHbA1cの低下につながることが示された。
体内にある酸素の一部は不安定で、多くの物質と反応しやすい活性酸素に変化する。活性酸素は微量であれば人体に有用な働きをするが、大量につくられると、過酸化脂質をつくりだし、細胞を傷つけたり、老化、動脈硬化、免疫低下、がんなどの多くの疾患を引き起こす原因となる。
野菜や果物には、この活性酸素の発生やその働きを抑制したり、活性酸素そのものを取り除く成分が多く含まれる。ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類のほか、ポリフェノール、カロテノイドなどが抗酸化物質とみられている。
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