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2011年08月03日

光センサーで連続血糖測定 採血なしで4ヵ月測定 東大など

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医療の進歩
 東京大学生産技術研究所と技術研究組合BEANS研究所は、血糖値を継続して測定する技術を開発したと発表した。血糖値によって光の強度が変化するセンサーをマウスの耳に埋め込み、血糖値の高低を光で知らせる。

 このセンサーは、同研究チームが開発した血糖値によって光の強度が変化する蛍光性の材料をファイバー状に加工したもの。ふだんは光らないが、特殊な光をあてると光るセンサーを体内に埋め込み、血糖値に応じて変化する光の強度を体外から測定する。糖尿病患者の血糖値を連続測定できる方法として実用化を目指している。

 これまでのビーズの形状は、長期埋め込みを行うと、ビーズが移動してしまう問題があった。また、測定後に、ビーズを体外に取り出すことも難しかった。そこで、微小径のファイバーに加工し、埋め込んだ位置に安定させることに成功した。

 生体適合性のポリマーを混入させることで、埋め込み時の皮膚周囲の炎症を低減させ、皮膚の外からの光測定を長期間行うことができるようになった。実験では、埋め込み後4ヵ月後もファイバーの位置は変化しなかった。

 血糖コントロールを改善し維持するために、多くの患者が医師の指導のもとで血糖自己測定を行っている。患者が自分で1日数回、血糖値を測定しているが、穿刺を行う必要がある。より細く痛みの少ない穿刺針も開発されているが、患者によっては負担に感じることもある。

 また、血糖値は食事や運動などの影響を受け、測定する時間帯によって変動する。日内変動を適正にとらえるために測定回数を増やす必要があり、患者がよく理解したうえで測定する必要もある。

 研究者らは、「微小径のファイバー型センサーの開発が成功し、体内に低侵襲で埋め込むことができれば、血糖測定にともなう患者の負担を減らせる」としている。睡眠中など自分で測定できない場合なども、自動的に血糖値を測定できるシステムの実現も期待される。

 この研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト」(BEANSプロジェクト)の一環で行われている。

耳が光って血糖値をお知らせ―4ヵ月以上長期埋め込み計測に成功!―(東京大学生産技術研究所 平成23年8月2日)
Long-term in vivo glucose monitoring using fluorescent hydrogel fibers
PNAS, August 1, 2011, doi: 10.1073/pnas.1104954108

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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