ニュース
2011年02月03日
食塩・砂糖・脂肪「子供は濃い味が好き?」 味の好みは幼年期に決まる
- キーワード
- 食事療法

腹八分目の食習慣を身につけるために、「濃い味付けの食事を避けた方が良い」といわれることが多い。
高塩分・高糖分・高脂肪の味付けの濃い食事は過食につながり、肥満や高血圧、2型糖尿病、脂質異常などの発症・進展につながる。また、1日3食の規則正しいリズムが乱れやすくなる。
「子供の味覚は3〜6歳の時期につくられる。家庭での食事がその後の味の嗜好を決めてしまうので、家庭での食事はとても大切。子供の食習慣の改善について、早い時期に介入することが必要かもしれない」とする研究が米国で発表された。

「家庭での食事が子供の嗜好に大きく影響する」と話すCornwell教授
Cornwell教授らの研究チームは、子供の食品に対する好みについて、2つの調査を行った。1つめの調査は、母親が大都市で働いている就学前の子供67人を対象に行われた。
母親に21種のアイテムを見せ子供の食品の好みについて質問し、子供にはリンゴやバナナ、イチゴ、メロンなどのフルーツ、牛乳、トマトなどの野菜サラダ、グリーンビーンズなどの食品11種と、アイス、ケーキ、スナック、キャンディー類、清涼飲料など味付けしてある食品11種の写真を見せ、好きなものを選ばせた。

若い世代で「高塩分・高糖分・高脂肪」の食事をとりすぎていると、生活習慣病の発症につながり、その影響は一生を通じて続く。「心疾患、がん、2型糖尿病といった生活習慣病は、人々の健康を脅かし、社会的負担の増加につながっている。これらの病気を予防するうえで、健康的な食事を促進することが大切だ」としている。
WHOによると、世界の就学前の子供でも過体重や肥満が増えており、その数は4300万人に上るという。子供のうちから、健康的な食事と適正な体重管理について教えるよう、各国で対策することが望ましい。
子供が見るテレビコマーシャルが、栄養価の低い「ジャンクフード」の利用を促しているという研究も報告されている。
Reducing the marketing of unhealthy foods to children(世界保健機関)
2つめの研究では、都市部の5つの幼稚園で108人の就学前の子供を対象に、ファストフードや清涼飲料に対する好みについて調査した。子供はそれぞれ36枚のカードを見せた。うち12枚は米国で人気のあるファストフード・チェーン、6枚は主要な清涼飲料、6枚は普通の食品が示されていた。
その結果、食品のブランドに対する認知度はそれぞれだったが、子供たちはファストフードや炭酸飲料のカードを正確に選ぶことが分かった。
Cornwell教授は「子供の嗜好が形成され、食塩、砂糖、脂肪の味付けを好むようになる過程で、ファストフードや炭酸飲料の認知が大きく影響している可能性がある」と指摘する。
同教授によると、子供の味の好みは3〜6歳でつくられるという。幼少期からファストフードや炭酸飲料を多く与えていると、子供はそうした食品を優先して選ぶようになる。「おそらくは、そうした食品を頻繁に与えているうちに、子供は食品のブランドまで覚えてしまったのだろう」とCornwell教授は話す。
米国を含む多くの国で小児肥満が増えている。家庭での食事は、子供の嗜好に大きく影響する。「家庭では意識して、高カロリーで栄養素の低い“ジャンクフード”をなるべく減らし、健康的な食事におきかえる工夫が必要だ。体重管理や食事療法にのみ目が行きがちだが、実は子供の味の好みの形成にも関わる重要なことだ。そうした対策は、早い時期に始めた方が良いだろう」と強調している。
Preschool kids know what they like: salt, sugar and fat(オレゴン大学、2011年1月25日)
食事療法の関連記事
- 魚を食べている人は糖尿病リスクが少ない 魚は脳の健康にも良い 中年期の食事改善は効果が高い
- 朝食をしっかりとると糖尿病が改善 血糖管理に大きく影響 朝食で「お腹ポッコリ」肥満を予防
- 「超加工食品」の食べすぎは糖尿病リスクを高める 筋肉の質も低下 「自然な食品」はリスクを減らす
- 糖尿病の食事に「ブロッコリー」を活用 アブラナ科の野菜が血糖や血圧を低下 日本でも指定野菜に
- 糖尿病の人はビタミンやミネラルが不足 「食の多様性」が糖尿病リスクを下げる 食事バランスを改善
- 糖尿病の人は脂肪肝にご注意 ストレスはリスクを高める 緑茶を飲むと脂肪肝が減少
- 「玄米」で糖尿病を改善 食事では「低GI食品」を活用 血糖値を上げにくい新しい米を開発
- ウォーキングなどの運動は糖尿病の人に良い 運動で食欲も抑えられる 認知症の予防にもつながる
- アルコールの飲みすぎは危険 糖尿病・高血圧・肥満のある人は肝臓病リスクが2.4倍に上昇 飲酒により糖尿病リスクが上昇
- 【Web講演を公開】2月は「全国生活習慣病予防月間」
今年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」