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2011年01月21日
座ったままの時間が続くと不健康に 「立ち上がり、もっと動こう」と研究者
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オーストラリアのクイーンズランド大学のGenevieve Healy博士(公衆衛生学)らの研究チームは、2003〜2006年の米国民健康調査(NHANES)に参加した成人4757人のデータを解析した。
この研究は、欧州心臓病学会(ESC)が発行する医学誌「European Heart Journal」1月12日号に発表された。
参加者にウォーキングなどの運動や、日常での活動の時間と強度を、加速度センサーで計測する活動量計を持ち歩いてもらった。活動量計を7日間、腰に着けてもらい、運動をしている時間や座ったまますごす時間や回数を計測した。
- 電話は立ったままする
- 連絡を電話や電子メールで済まさず、歩いて相手に会いに行く
- 会議や打合せを、立ったまま行う
- なるべく違う階のトイレを使う
- ゴミ箱やプリンタなどを離れた場所に置き、そこまで歩くようにする
- なるべく階段を使い、エレベーターを使わない

座ったまますごす時間量は、もっとも少ない人では1日に1.8時間、多い人では21.2時間だった。
解析した結果、座ったまま過ごす時間が長い人では、心臓病や2型糖尿病、動脈硬化症の危険性が高くなっていた。
座ったままの時間が長く、体を動かさない人では、ウエスト周囲径(へそまわり)が大きい、善玉とされるHDLコレステロールが低い、炎症の重要なマーカーとなるC反応性蛋白値が高い、中性脂肪値が高いなど脂質異常が多い傾向がみられた。
ウエスト周囲径が大きい人は内臓脂肪が多く、動脈硬化ず進みやすく、C反応性蛋白は心筋梗塞や脳梗塞を発症する危険性を予測するマーカーになると考えられている。
余暇時間に活発な運動をしている人でも、座ったままの時間が長い生活をおくっていると、検査値が悪化することも分かった。座ったままの時間が長い人ほど、よりウエスト周囲径が大きく、C反応性蛋白値が悪化していた。
「椅子などに座ったまますごす時間を少しでも、たとえ1分でも減らすことが、危険性を減らすことにつながる。職場やオフィスなどでは、生産性を損なわないようにして、座ったままの時間をなるべく減らす対策を促すことが大切だ。“立ち上がろう、もっと動こう、なるべく多く”といったスローガンを浸透させる必要があるかもしれない」とHealy博士は話す。
1日の中でもっとも長いのは、座ったまますごす時間だ。職場環境がコンピュータ化されるにつれ、椅子に座る時間はますます長くなるだろう。座っていることが体に良くないという共通の認識をもつことが対策になる。「社会が変化し便利になるにつれ、体を動かさず座ってすごす時間が増えていった。運動を習慣として行うことに加え、意識して座ったままの時間を減らすことが重要だ」とHealy博士は強調している。
Stand up, move more, more often: study finds more breaks from sitting are good for waistlines and hearts(欧州心臓病学会)
Sedentary time and cardio-metabolic biomarkers in US adults: NHANES 2003-06
European Heart Journal. doi:10.1093/eurheartj/ehq451
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