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2010年09月30日
朝食で幸せ度がアップ 朝ごはんを毎日食べる人は満足度が高い
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朝食をきちんととる習慣は、健康増進に役立つだけでなく、その人の幸福感や生活満足度にもつながるという研究が発表された。これは東北大・加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同研究センター(センター長:川島隆太教授)による「幸せ度とライフスタイルに関する調査」で分かったもの。調査は、20代から60代の社会人の男女1000人を対象に行った。
調査では、現在の自分の「幸せ度」を100点満点で自己採点してもらった結果、平均は65.1点となった。これを朝ごはんの摂取頻度でみると、毎日朝ごはんを食べている人は67.9点と高く、週2日以下しか朝ごはんを食べない人の「幸せ度」は59.0点と低めだった。
また、自分の幸せの基準として重視していることを聞くと、朝食を毎日食べる人は「健康状態」(72.8%)や「家族関係」(68.3%)と答えたのに対し、朝食を週2日以下しか食べない人は、「経済的な余裕」(73.1%)をもっとも重視し、「家族関係」(55.8%)に幸せをみいだす人が少なかった。
つまり、「幸せ度」が高い人は余裕があり、朝ごはんを“毎日”食べる人で、「家族との関係」など精神的な幸福感を重視する傾向がみられるということになる。「たかが朝食、されど朝食。当たり前の生活習慣を当たり前に行うことが、私たちの幸せ感と直結する」と川島教授は強調する。
さらに、自分の生活を自己採点すると、朝食を毎日食べる人の「生活充実度」(65.4点)は、朝食を週2日以下しか食べない人の53.8点と比べ10点以上も高く、他の項目も総じて高得点となっている。
調査結果について川島教授は「私たちが最近行った研究では、朝食を抜いたり、糖質だけの朝食をとっていると、さまざまな脳の領域の活動が落ちることがあきらかになった。結果として、栄養学の調査研究では、認知能力が約2割も低下することも示されている」と話す。
仕事に関する意識と朝食との関係でも、朝食をとる習慣のある人は、ワーク・ライフバランスがとれ、メンタルストレスも低く、うま<仕事にとけこめているのに対して、朝食習慣のない人は、転職を希望する傾向が高いなど、社会とうまく関われていない傾向が高いことも分かった。
川島教授は「社会人として、幸せを享受するには朝食が必要。最近、心から笑っていない、なんとなく人生がうまく回っていない、気持ちが落ち込みがちだ、仕事がだんだんつまらなくなってきた、これらに思い当たる人は、ぜひ朝食習慣を見直してみてください」と話している。
糖尿病の治療の目的のひとつは、平均血糖値を健常者に近づけることだが、血糖の日内変動を最小限度に抑えることも重要とみられている。朝食を食べないでいると、昼食や夕食で食べすきてしまうおそれがあり、1回の食事量が多すぎると食後の血糖値が高くなりやすい。
逆に食事の量が少なすぎたり、食事の間隔が空きすぎると、飲み薬やインスリンで治療をしている人では、低血糖が起こるおそれがでてくる。医師は糖尿病の治療薬を処方するときは、患者が食事を適切な量、適切な時間にとることを想定しているので、糖尿病の人では食事は朝食を含め3食できちんととることは特に重要だ。
川島隆太教授が朝ごはん習慣と幸せ度と生活満足度の関係を調査(東北大学 加齢医学研究所 スマート・エイジング国際共同研究センター)
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