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2010年09月28日
睡眠障害は男性では深刻 「早期発見・治療を」
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- 糖尿病合併症

1晩に6時間以上の睡眠をとっている男性に比べ、慢性の睡眠障害があり睡眠を6時間未満しかとっていない男性では、死亡の危険性が4.33倍に高まるというショッキングな研究が発表され
このコホート研究は、米国の男性741人(平均年齢50歳)と女性1000人(平均年齢47歳)を対象に行われ、結果は米国睡眠医学会が発行する医学誌「SLEEP」9月1日号に発表され
その結果、男性の4%と女性の8%は、睡眠時間が6時間未満で、慢性の不眠症と判定された。女性では約10年間、男性では約14年間の調査期間中に、248人(14%)が死亡した。男性の調整死亡率は、「良く眠れる」という男性で9.1%だったのに対し、不眠症で睡眠時間が6時間未満の男性では51.1%に上昇した。
おそろしいことに、睡眠障害に2型糖尿病や高血圧症が重なると、死亡率はさらに上昇するという。睡眠時間が6時間未満のグループでは、ベースライン時で糖尿病や高血圧症と診断された患者では7.17倍に上昇した。そうでない人では死亡率が1.45倍にとどまった。
このコホート調査にもとづく別の研究では、睡眠障害があったり睡眠時間が十分にとれないと、2型糖尿病や高血圧症の発症が増えることも示唆されている。
「不眠でもっとも一般的にみられる睡眠障害は、特に男性で深刻であることが示された。どのような理由であっても、睡眠障害は健康によくないことはあきらかだ。糖尿病などをもつ睡眠障害の男性では、睡眠の改善は特に望ましい」とペンシルベニア州立大学医学部・睡眠研究治療センターのAlexandros N. Vgontzas氏は話す。「睡眠障害を早期に発見し、適切に治療することが重要だ」。
体格指数(BMI)、喫煙習慣、アルコール摂取、抑うつ病、睡眠時無呼吸症候群などの因子の影響を調整した後も、結果は変わらなかったが、女性では睡眠障害による影響はみられなかった。なぜ女性では睡眠の影響が少ないのかはよくわかっていないが、研究者らは調査期間が短かったことや、男性患者で重症化する例が多いことを指摘している。
Study Finds an Increased Risk of Death in Men with Insomnia and a Short Sleep Duration(米国睡眠医学会)
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