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2010年09月27日

基礎体力の低下を予防 長生きの秘訣は筋力トレーニング

キーワード
運動療法
 握力が低下しておらず力強く握手できる人は長生きする―基礎体力を簡単な方法でテストすることで、死亡リスクを予測できるという研究が、英ロンドン大学の研究グループにより発表された。

 握力、活発なウォーキング、椅子からの立ち上がり、片足立ちなど、日常での動作をみることで、基本的な身体能力を測定でき、これらを低下させないように運動やトレーニングを続けることで、寿命を延ばせる可能性があるという。

 この研究は英国医師会の医学誌「British Medical Journal」に9月9日に発表された。

日常でのバランス感覚が良好で、活発にウォーキングし、椅子から立ち上がれる
 ロンドン大学(UCL)の加齢・長寿学(Lifelong Health and Ageing)の研究チームは、身体能力と加齢関連を調べた研究57件をメタ解析した。うち33件は死亡との関連についても検討していた。医療機関やケアホームなどの施設に入院している患者などは除外された。

 その結果、身体能力テストの成績の悪かった人は全体的に死亡の危険性が高いことが示され、4つの身体能力テストは一貫して死亡率に関連していることが分かった。

 5万3476人を対象に握力を調べた14件の研究では、握力が最も弱いグループでは最も強いグループに比べ、死亡率が1.67倍高かった。

 また、1万4692人を対象に、ウォーキングの速度について調べた5件の研究では、速度が最も遅いグループでは、最も早いグループよりも、死亡率が2.87倍高かった。年齢や性別、身体サイズの影響を調整した後も、この傾向は変わらなかった。

 2万8036人を対象に椅子からの立ち上がりを調べた5件の研究でも、最も遅いグループでは最も遅いグループに比べ、死亡率がほぼ2倍に高まることが示された。

 これらの研究は多くは高齢者を対象としたものだが、握力と死亡リスクとの関連は若い世代でも認められたという。

 これらの基礎体力を簡単な方法で知ることができる。研究者らは、加齢による体力低下と死亡率との関連は若年成人にも起こりうることで、より多くの研究で確かめる必要があると強調している。

 「身体能力を測定する検査を行うことで、危険性を予測できる可能性がある。一般に高齢になると死亡率は高くなるが、危険性の高い人をスクリーニング検査で特定し、筋力トレーニングなどの必要な指導を行うことで、死亡率を低下できる」と述べている。

Grip test predicts early death(NHS)
Objectively measured physical capability levels and mortality: systematic review and meta-analysis
British Medical Journal, 2010; 341:c4467

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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