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2010年08月06日

水分補給は大切 暑い夏場の水分補給はこまめに

キーワード
食事療法
 暑い日が続き、熱中症になる人が増えている。予防するために、適切な水分補給が大切だが、どれだけ水分をとると良いのだろうか。夏の水分補給のポイントをまとめてみた。
水分の不足が脳梗塞・心筋梗塞の危険要因に
 厚生労働省が推進する「健康のために水を飲もう推進運動」(委員長:武藤芳照・東京大学大学院教授)では、水分補給と健康に関する基本情報をまとめて公開している。

健康のために水を飲もう推進運動委員会のポスター

 それによると、中高年で多発する脳梗塞・心筋梗塞などは水分摂取量の不足が大きな危険要因のひとつとなっている。また、児童生徒などを中心にスポーツなどに伴う熱中症による事故も後を絶たない。脱水による健康障害や重大な事故などの予防には、こまめな水分補給が効果的だという。

 成人男子が比較的安静にしていた場合、平均的には少なくとも食事から1.0リットル、飲み水や飲料から1.2リットルの水分を摂取する必要があるが、気温や湿度が高かったり、運動をして発汗量が通常より多いときには、それに見合う水分量の確保が必要となる。

 尿、汗などの喪失量に見合う水分を適量摂取できれば、血漿浸透圧は一定に保たれるが、水分摂取量が不足すると血漿浸透圧が上昇し、のどが渇き、尿が濃縮される。水分の摂取量不足は健康障害の大きな危険要因となるので注意が必要だ。

 そのひとつである脳梗塞は、脳血管が閉塞・狭窄し脳虚血が起こり、酸素や栄養の不足のため脳組織が壊死するかそれに近い状態になる疾患。脳梗塞による死亡数は日本人の死亡原因の中でも多くを占める。また後遺症を残して介護が必要となることも多いので、十分な対策が必要となる。

 発症時間でもっとも多いのは夜間から早朝にかけてで、就寝中には水分をとれないので脱水傾向になることが関わっているみられる。また、年間を通じては夏と冬に多く、夏は脱水が発症と関わっているとされる。

 また、心筋梗塞(虚血性心疾患)は、冠動脈の血流量が下がり、心筋が虚血状態になり壊死したりそれに近い状態になる疾患。日本人の急性心筋梗塞による死亡数は脳梗塞に並び多い。動脈硬化病変をもとにして脱水状態になった場合は、閉塞性血栓が発生しやすく心筋梗塞に至る場合もあるので、やはり水分補給は重要だ。

夏場の水分補給はこまめに
 水分補給のポイントは、のどの渇きを感じる前に適切に水分をとること。のどの渇きを感じはじめたときは、すでに脱水が始まっている。渇きを感じてから水を飲むのではなく、水分が不足しやすい就寝の前後や、運動の前後や途中、入浴の前後などに水分をとることが重要とされている。就寝時には、枕元に水分をおいておくことも有用だ。

 汗をたくさんかく夏場は、どの程度の水分を飲めば良いのだろうか。平均的には、コップの水をあと2杯飲めば、1日に必要な水の量を確保できるが、夏場は汗で減った体重と同量の水を飲むのが良いとされる。こまめに水分をとっていれば、熱中症を防ぎやすい。

 体調などで飲む水の種類を変えることも効果的で、脱水により熱中症を起こしているときには、体液に使い組成で塩分が入っている飲料を飲むと、水分が吸収されやすくなる。ただし、市販されているスポーツ飲料は糖分が多く含まれているものもあり、大量に飲むと糖尿病の人では血糖コントロールが悪化する原因となり、そうでなくとも糖尿病ケトアシドーシスの症状を起こす「ペットボトル症候群」におちいるおそれがある。

 日常的に飲むのなら、肥満予防の観点からもカロリーのない天然水やお茶などが勧められるが、熱中症の危険のあるときは、麦茶0.5〜1リットルに、梅干し半分か、漬物、塩昆布をいっしょにとるなどして工夫すると、水分と塩分を同時に補給できる。

 なお、腎臓、心臓などの病気の治療中で、医師に水分の摂取について指示されている場合は、その指示に従う必要があるのでご注意を。

健康のために水を飲もう推進運動(厚生労働省)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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