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2010年07月09日
自転車は女性の体重コントロールに最適 1.8万人を16年調査
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更年期前の女性では、自転車に乗る時間や、ウォーキングに費やす時間を、毎日少しずつでも増やしていくと、加齢にともなう体重の増加を抑えられることが、ハーバード公衆衛生大学院(ボストン)の研究者による調査研究で分かった。米国医師会が発行する医学誌「Archives of Internal Medicine(内科学)」6月28日号に発表され
研究開始時の1989年頃に自転車に乗る習慣がなかったが、2005年の時点で自転車に乗るようになっていた女性では、自転車に乗る時間が少しずつでも増えると体重コントロールが改善していた。期間を通して自転車に乗る時間を1日30分増やした女性では、体重増加量が平均1.6kg少ないとう結果になった。
2005年の時点で自転車に乗る時間が週に4時間を超えていた女性では、1989年時点での運動習慣に関係なく体重の増加が26%少なく、体重増加は5%未満に抑えられていた。特に太りすぎや肥満だった女性では、自転車に乗る時間が長いほど体重増加をよく抑えられていた。
一方で、1日に30分のウォーキングを続けた場合では、時速4.8kmの活発なウォーキングを行った女性では体重増加量が1.8kg少なかったが、それ未満のゆっくりとしたウォーキングを続けた女性ではあまり効果がみられなかった。ウォーキングを行う場合はある程度の速歩でないと運動の効果を期待できないようだ。
「サイクリングを毎日続けた女性では、まったく乗らない女性に比べ、加齢による体重増加を低く抑えられることがあきらかになった。太りすぎや肥満のある人にとって、サイクリングは快適に行える運動かもしれない。今回の調査は女性を対象にしているが、男性でも同じことがいえるだろう」とハーバード大学公衆衛生学部栄養学科のRania Mekary氏は話す。
サイクリングの時間が長いほど恩恵を得られやすいが、運動は少しずつでも効果があり、サイクリングの時間を毎日5分ほど増やしていくだけで体重の変化に影響がでてくるという。「運動を始めるのが遅すぎるということはない。自動車に乗らないで自転車に乗った方が良い」と強調している。
米国疾病管理センター(CDC)などは、肥満や心臓病、2型糖尿病、がんなどの生活習慣病を予防するために、成人は毎日30分、週に2.5時間の適度な強度の運動を続けることを奨励しているが、米国成人の3分の2は太りすぎか肥満というのが現状。
「米国人の肥満対策として、歩道を自動車道や駐車場と分けて整備するだけでなく、快適にサイクリングができる自転車道を整備する政策も必要かもしれない」とハーバード大学公衆衛生学部栄養学科のAnne Lusk氏は述べている。
Bicycling, Brisk Walking Help Women Control Weight(ハーバード大学)
Bicycle Riding, Walking, and Weight Gain in Premenopausal Women
Archives of Internal Medicine, June 28, 2010, vol.170, no.12
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