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2010年04月01日

食生活が変わり糖尿病と痛風が増えた 痛風ガイドライン8年ぶり改訂

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糖尿病合併症
 8年ぶりの改訂となる「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」(第2版)を日本痛風・核酸代謝学会が編集、1月に発行した。高血圧などの他の疾患でガイドラインが作成されたことや、腎臓病やメタボとの関連で調査結果が多く発表されたことが反映されている。痛風予備群の人にも大いに参考になりそうだ。

 高尿酸血症(痛風)は、体の新陳代謝で発生する老廃物である尿酸が増えすぎて引き起こされる病気。血液中の尿酸の濃度が上昇した状態が続くと、体内で結晶化し、関節や腎臓などに蓄積され発作が起こる。

発症リスクを増やす要因
  • 肉類や魚介類の摂取が多いと増える。
  • アルコール(特にビール)の摂取量が多いほど増える。
  • 糖分の多い飲料を週に5〜6回以上飲むと増える。
  • 果物ジュースや糖分の多い果物をとりすぎると増える。
  • 体格指数(BMI)が高く肥満や太りすぎであると増える。

発症リスクを減らす要因

  • プリン体を多く含む食品(動物の内臓、魚の干物など)を避ける。
  • 適度な運動をするとリスクは減る。適正体重を目標に、週3回程度の軽めの運動を継続するのが好ましい。
  • 食事ではバランスよく食べる。乳製品の摂取が多いと減るという報告がある。
  • アルコールを制限する。アルコール飲料は、プリン体の有無にかかわらず、尿酸値を上昇させる。高エネルギーなので、肥満の原因にもなる。
  • コーヒーを飲む杯数(1日)が多いとリスクが減るという報告がある。
「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版)」掲載データをもとに作成
 足の親ゆびの付け根の関節が赤く腫れて激しく痛みだすのが痛風の発作。発作がおさまっても適切な治療を行わないでいると再発するので、油断は禁物だ。

 痛風にかかるのはほとんどが男性で、患者数は他の生活習慣病と同様に増えている。調査によると痛風で通院する患者は、1986年から2004年にかけて3倍以上に増えている。肥満やメタボ、慢性腎症、脂質異常症など、動脈硬化が進行しやすい状態にあると、痛風も発症しやすくなる。

予防と治療:食事と運動で肥満に対策
 今回の改訂では、関節炎や腎障害などの尿酸沈着症に着目し、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えるものを高尿酸血症とした。予防・治療するために、最近の調査結果から食生活を中心とする生活習慣を改善する必要を強調していることも特徴となる。高尿酸血症の薬物療法を行っている患者でも、生活習慣改善はとても重要だ。

 尿酸値を下げるために有用なのは減量だ。高尿酸血症の患者の多くは太りすぎや肥満で、多くの場合で減量すると尿酸値も下がる。アルコールは尿酸の生産を促進させるので飲みすぎない、「プリン体」を多く含んだ食品を食べすぎない、水分をよくとるといった食生活の改善が勧められている。

 痛風の治療や予防では、尿酸のもとになるプリン体を多く含んだ食品を避けるよう指導される。ガイドラインでは食品ごとのプリン体含有量を表記している。

 肉類、魚介類、乳製品、野菜などプリン体含有量の多い食品について、それぞれ摂取量の多い集団と少ない集団の発症リスクを比較したデータを公開している。それによると、肉類、魚介類は摂取が多いとリスクは約1.4倍に増えるという。アルコールも発症リスクを増やす原因となる。特にビールを飲みすぎていると、リスクは約1.5倍に増える。

 一方、野菜はプリン体が多くても関係しないという結果になった。バランス良くとるのが大切で、乳製品は適度にとっているとリスクを0.6倍に下げるという。

 意外なところでは、コーヒーを多く飲む人では発症リスクが減るという調査結果が示された。1日に4〜5杯飲む集団では0.6倍、6杯以上飲む集団では0.4倍とリスクが低くなったという。コーヒーといえばカフェインだが、カフェイン抜きでもリスクは低かった。

糖尿病と痛風・高尿酸血症

 糖尿病は血液中のブドウ糖濃度「血糖値」が高い状態が続く病気だが、痛風・高尿酸血症は血液中の尿酸の濃度「尿酸値」が高い状態が続く病気。

 ともに戦前の日本では少なかったが、社会が豊になり食生活が変化するとともに、急に患者数が増えだした。遺伝的素因のほかに、過食やアルコールの飲みすぎ、運動不足、肥満などの要素が重なりあって発病する点も共通する。

 糖尿病の人は尿酸値が高い人も多く、糖尿病の食事療法や運動療法は、痛風の予防・治療にも有用だ。糖尿病の治療を続けていれば、尿酸値にも良い結果をもたらす。

日本痛風・核酸代謝学会
公益財団法人 痛風財団

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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