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2009年11月29日
「魚の健康効果」は調理法によって高まる 焼魚、煮魚がお勧め
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食事でオメガ3系脂肪酸を適度にとると心血管疾患の危険が低下することが多くの研究で指摘されているが、どんな食品をどのように食べればより効果的かを解明した研究は少ない。
缶詰めのツナ、他の缶詰めの魚、貝類・エビ・カニなどの甲殻類を除く魚、豆腐や醤油など植物性のオメガ3系脂肪酸を多く含む大豆食品などを分別し、生、焼く、煮る、フライ、干物といった調理法についても調査した。
平均11.9年の追跡期間中、4516人が心臓に関連する原因により死亡した。オメガ3系脂肪酸を1日約3.3gともっとも多く摂取していた男性は、1日0.8gしか摂取していなかった男性に比べて、心疾患による死亡リスクが23%低かった。
女性では、オメガ3系脂肪酸の摂取により心疾患のリスクが軽減される傾向は男性ほど顕著ではなかったが、塩漬けや干物を多く食べる女性では高血圧の傾向がみられ、豆腐など大豆食品の摂取が多い女性ではあきらかな心臓への保護効果が認められた。
また、塩分の多い醤油や照り焼きソースを1日に1.1g未満とっている男性でも保護効果が認められたが、1.1g以上をとっている女性では死亡と心疾患が明白に増えていた。
米ハワイ大学マノア校のLixin Meng氏は「魚を食べる頻度の多かったのは日本人とハワイ人で、魚の調理法も多様だった」と説明している。
「オメガ3系脂肪酸の摂取量が多い男性は、心疾患による死亡リスクが低いことがあきらかになった。女性では、大豆食品からオメガ3系脂肪酸とともにフィトエストロゲンなどの有効成分を摂取しており、オメガ3系脂肪酸のみを摂取するよりも強い保護効果が得られるのではないかと推察される」。
「魚の調理法によって健康への影響は異なる。直接比較したわけではないが、危険比からみて、煮魚や焼魚は心臓への保護効果があり健康に良いが、フライはそれほどではない。心疾患を予防する観点での保健指導では、魚をどれだけ食べれば良いかに加え、調理方法を含めたほうが良いかもしれない」。
魚食が心臓を保護する効果は、性別や民族によっても異なり、白人、日系アメリカ人、ヒスパニック系の男性は、より恩恵を得やすいとしている。Meng氏は「魚の調理法、遺伝子因子、ホルモン因子のためだろう」とし、魚食と遺伝子因子の関連を解明するためにさらなる研究の必要を指摘している。
今回の研究は、11月にオーランドで開催された米国心臓協会(AHA)年次集会で発表され
How fish is cooked affects heart-health benefits of omega-3 fatty acids(米国心臓協会)
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