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2009年09月17日
【新型インフルエンザ】 糖尿病患者のワクチン接種 糖尿病学会の見解
- キーワード
- 1型糖尿病
新型インフルエンザ(H1N1)に感染すると、慢性呼吸器疾患や心臓病、腎不全の患者、妊娠などに加えて、糖尿病患者でも重症化しやすいと、国内外の保健・医療の関連機関が発表してい
厚生労働省の発表によると、9月15日までに新型インフルエンザにより入院した患者数は892人。うち76.0%は19歳以下の小児や若年で占められる。また、基礎疾患のある患者数は375人だが、喘息などの慢性呼吸器疾患のある患者が219人(24.6%)と多く、糖尿病など代謝性疾患のある患者は39人(4.4%)となっている。
新型インフルエンザに感染した人は、一般ではほとんどが軽症で回復している。しかし、海外では重症化した症例での糖尿病の合併率が比較的高いという報告もあり、注意が必要となる。
糖尿病患者では、血糖コントロールが悪い場合では、免疫力が低下しウイルスなどに感染しやすく、また感染により血糖コントロールなどが悪化するおそれがある。しかし、血糖コントロールが良好であれば、そうした危険を大幅に減らすことができると考えられている。
日本糖尿病学会では「新型インフルエンザの感染や重症化を予防するためには、全ての糖尿病患者において、手洗いのなどの
2007年の調査では日本で糖尿病が強く疑われる人は890万人と推計されている。そのうち医療機関で糖尿病治療を受けている患者はおよそ500万人で、うちインスリン治療中の患者数は80-100万人、インスリン治療中を除く経口血糖降下薬で治療中の患者数は150-200万人と推計されている。
見解では、糖尿病患者のワクチン接種について「(新型ワクチンが)季節性インフルエンザウイルスワクチンと同等程度の重症化予防効果が期待できるとすれば」と前置きし、さらに「国内産ワクチンの供給が約1800万人分にとどまり、且つそれが順次出荷されるという状況に鑑みて敢えて優先順位を付けるとすれば」としながら、糖尿病患者のワクチン接種の優先度を示している。
ワクチン接種にあたり「患者の社会環境や生活環境・患者の身体的状況などに基づいた医師の判断と患者の希望が尊重されるべきである」と注意を加えている。現在、新型インフルエンザの国産ワクチンの安全性や有効性を確かめる臨床試験が進められており、対象者への接種は10月下旬から開始される見込み。
- 糖尿病患者で併発疾患[心疾患、慢性腎不全、喘息やCOPDを含む慢性呼吸器疾患、免疫不全またはそれを引き起こす治療(ステロイド、化学療法など)を受けているもの、HIV感染者、ヘモグロビン異常症、長期のアスピリン使用を必要とする疾患(川崎病、関節リウマチなど)、など]を有している患者、および糖尿病合併妊婦。各々の併発疾患を有する患者のワクチン接種基準等は、関連各学会が定める重症度基準に従うものとする。また、妊婦についても日本産婦人科学会の推奨基準に従う。
- 1歳以上の就学前の糖尿病患者および小学校・中学校・高等学校に就学中の糖尿病患者。1歳未満の小児糖尿病患者については、日本小児科学会の基準に従う。
- 上記1、2に該当しないインスリン療法を必要とする患者。
優先度第2群
優先度第3群
関連情報
糖尿病患者の方々へ(国立国際医療センター)
糖尿病のある方の新型インフルエンザ対策(患者・一般向け、医療関係者向け)
糖尿患者さん向けのインフルエンザ対策啓発ポスター(A4サイズのPDF)
インフルエンザ最新情報
再放送 9月21日(月)、22日(火)、25日(金) 午後1:05-1:20
[放送局]NHK教育テレビ
[番組名]きょうの健康
http://www.dm-net.co.jp/event/ippan/009124.php
インフルエンザ
再放送 9月26日(土)、10月3日(土) 午後1:00-1:59
[放送局]NHK教育テレビ
[番組名]ここが聞きたい!名医にQ
http://www.dm-net.co.jp/event/ippan/009126.php
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