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2009年09月11日
国内初の異種膵島移植に成功 糖尿病患者の移植治療へ足がかり
- キーワード
- 1型糖尿病
鹿児島大学フロンティアサイエンス研究推進センターの山田和彦教授らの研究グループは先月、ブタの膵島(ランゲルハンス島)を、インスリン依存性のサルに移植し約2ヵ月間、血糖値を正常に維持することに成功したと発表した。
インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されて発病する1型糖尿病は、インスリン産生細胞を含む膵島移植が根治療法として期待されている。しかし、膵島移植ではドナーからの臓器提供が必要で、国内のドナーが不足しており移植件数は伸び悩んでいる。また、臓器移植では移植後の拒絶を抑制するために免疫抑制剤を使用する必要がある。そのため免疫をコントロールする免疫抑制療法の開発も課題になっている。 山田和彦教授らは、ブタの膵島に拒絶反応を起こす抗原が発現していないことに着目。同大大学院医歯学総合研究科の坪内博仁教授らが開発した細胞増殖や血管新生などを促す肝細胞増殖因子を応用し、移植した膵島細胞の早期生着を促し、生着後の拒絶反応を抑える独自の免疫抑制療法を開発した。 膵臓を摘出しインスリン依存性の糖尿病となったカニクイザルに、同大学の中西喜彦特任教授らが開発したミニブタから異種膵島移植手術を行い、移植後後58日間、正常血糖を保つのに成功した。 山田教授によると、「異種移植への期待が高まる一方で、大動物を用いた異種移植実験において、国内では1ヵ月以上にわたる慢性実験の報告はない」という。今回の研究は、国内での異種膵島移植での初めての長期生着症例となる。 膵島移植が成功しインスリン療法から解放されたとしても、免疫抑制剤の投与が永続的に必要となる。より副作用の少ない免疫抑制療法の開発が進歩することの意義は大きい。ヒトへの臨床応用にはまだ課題が多いが「さらに独自の戦略による臓器の長期生着と免疫療法の確立を目指し研究を進める」としている。 今回の研究成果は、10月にイタリア・ベニスで開催される「国際膵臓・膵島移植&異種移植合同総会」で発表される
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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