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2009年03月04日
禁煙外来のある医療機関で「今度こそタバコをやめる」
- キーワード
- 糖尿病合併症

糖尿病患者にとって、たばこの害は特に深刻で、糖尿病網膜症、腎症、神経障害といった合併症の危険を高める原因となる。喫煙はまさに「百害あって一理なし」。
喫煙による健康被害を軽減するためにもっとも有効な方法は禁煙すること。禁煙は心疾患や糖尿病合併症の予防に確実に効果があ
喫煙により男性では心疾患のリスクは約3倍に高まり、喫煙本数が増えるほどリスクも増加するが、禁煙すれば2年以内にリスクは減少する。また、たばこを1日に20本以上吸う人では、吸わない人に比べ糖尿病の発症が1.7から2.1倍高くなるという報告もある。
「たばこは趣味や嗜好なのだから吸う人の自由だ」と考える人もいるが、喫煙者の多くは禁煙を望んでいるという報告もある。
厚労省の調査によると、現在習慣的に喫煙している男性の4人に1人、女性の3人に1人は「たばこをやめたい」と考え、「本数を減らしたい」を含むと6割を超える人が現状の喫煙習慣を続けたくないと考えていた。
このことをふまえ、ニコチン依存症に対する治療への保険適用が2006年4月から開始され、一定の基準を満たす患者については、医療機関で医師による治療を受けられるようになった。
禁煙外来では、ニコチンパッチなどの禁煙補助剤を使い、離脱症状を和らげながら治療が行われる。ニコチン依存症は身体的な依存に加え精神的な依存も強いので、医療スタッフによる離脱症状の確認や対処法などのカウンセリングも行われる。
禁煙化は世界的な動向で、世界保健機関(WHO)はたばこ規制の推進を保健政策の重要な課題として、日本を含める加盟国により「たばこ規制枠組条約」を採択し2005年2月に発効した。
加盟国では、(1)たばこ税・価格の引き上げ、(2)受動喫煙の防止、(3)たばこ広告・販売促進の禁止、(4)たばこの包装の警告表示の強化、(5)禁煙治療の推進という対策が進められている。
- 日本医師会 禁煙推進活動
- 「禁煙ガイドライン」 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2003-2004年度合同研究班報告)(日本循環器学会)
合同研究班参加学会(日本口腔衛生学会、日本口腔外科学会、日本公衆衛生学会、日本呼吸器学会、日本産科婦人科学会、日本循環器学会、日本小児科学会、日本心臓病学会、日本肺癌学会)
- 日本循環器学会 禁煙推進委員会「禁煙治療のための標準手順書 第3版(2008年4月)」
禁煙ムービー、禁煙教材(「禁煙推進ポスター」、禁煙ガイドブック「PASSPORT to STOP SMOKING」、ビジュアル教材「今から始める喫煙防止教育」、DVD「動画で見る禁煙治療のための標準手順書」) 他 - 日本禁煙学会「禁煙学(学会認定禁煙指導者制度公認テキスト)」
- 日本禁煙科学会 禁煙支援者認定
- 日本禁煙科学会薬剤師分科会式 薬局におけるニコチンパッチを用いた禁煙支援
- 日本肺癌学会「禁煙治療のための標準手順書」(2008年第3版)
- 厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業「各種禁煙対策の経済効果に関する研究」
(主任研究者:高橋裕子 奈良女子大学保健管理センター)
「たばこ増税が総税収に及ぼす影響の推計」 他
- 禁煙治療啓発ウェブサイト「すぐ禁煙.jp」(ファイザー)
- 禁煙サポートサイト「いい禁煙」(ノバルティスファーマ)
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