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2008年11月07日

適正体重を維持する秘訣は「早食いをしない」「満腹まで食べない」

キーワード
食事療法
 早食いで満腹になるまで食べる人は、そうでない人に比べ3倍、太りすぎになりやすいことが、日本人3000人以上を対象に行った研究であきらかになった。磯博康・大阪大学公衆衛生学教授らの研究チームが、英国医師会誌「British Medical Journal(BMJ)」オンライン版に10月21日付けで発表した。

「満腹」「早食い」で過体重が3倍に
 研究では、秋田県井川町と大阪府八尾市に住む30歳から69歳の男性1122人(平均年齢55.3歳)、女性2165人(平均年齢52.4歳)に、食習慣について質問。男性の50.9%、女性の58.4%は満腹になるまで食べると答え、男性の45.6%、女性の36.3%が早食いであると答えた。満腹になるまで食べ、かつ早食いと答えた人は男性の27.9%、女性の25.5%だった。

 年齢、エネルギー摂取量、食物繊維やアルコールの摂取量、喫煙習慣、職業、運動習慣、地域などの影響を調整し解析したところ、男女ともに、「満腹」や「早食い」の人はそうでない人に比べ、BMI(肥満指数)が25以上の過体重(overweight)の割合が高い傾向がみられた。早食いで満腹になるまで食べる人では、過体重である確率が、満腹になるまで食べないし早食いでもない人に比べ、男性で3.1倍、女性で3.2倍になった。

この30年間で食習慣は変化した
 今回の研究では、肥満の増加は食事の内容や量だけでなく、食べ方にも関連している可能性を浮き彫りにした。研究を行った磯博康教授らは「早食いと満腹になるまで食べることは、過体重に対して相乗効果(付加的な相互作用:supra-additive effect)をもつことが示された」と結論付けている。

 「食事のエネルギー摂取量が身体活動などエネルギー消費量より多いと肥満や糖尿病になりやすい。食事のバランスが重要だが、“満腹になるまで食べる”ことや“早食い”という食習慣が原因になっている可能性がある」。

 この30年間で安価で高エネルギーの食品やファストフードが普及したが、それ以前は体に脂肪が過剰に蓄積されるほどエネルギーをとりすぎる成人は少なかった。最近では、家族で食事する機会が減り、テレビを見ながらの食事などにより食習慣が変化してきている。

 健康的な食習慣が減りファストフードなどの利用が増えたことも、問題悪化の一因になっている。米国ではファストフードを頻繁に食べる人では、肥満やインスリン抵抗性のリスクが高くなり、その結果、肥満と糖尿病が増えるという研究が発表されてた。専門家は「エネルギー摂取量を適正に管理しながら栄養バランスにも配慮する食生活が勧められる」と話している。

関連情報
ファストフードは肥満と糖尿病のリスクを高める 米国調査

「早食い」と「満腹」が合わさった食習慣の肥満への影響:British Medical Journal(BMJ)(英文)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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