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2008年08月15日

阿波踊り体操が人気 糖尿病が15年ぶりに改善 [徳島]

キーワード
運動療法

8月12日に徳島市で開催された「脱!糖尿病・メタボリックシンドロームセミナー」での阿波踊り体操の実演。前列右端が田中俊夫教授。
 徳島県が、2型糖尿病などの対策として考案した「阿波踊り体操」が、県内外で注目されている。

 「阿波踊り体操」は、徳島の伝統芸能として有名な阿波踊りをアレンジし、子どもから大人まで手軽に楽しくできる運動として、田中俊夫・徳島大学大学開放実践センター教授が構成した。

 軽快なメロディーに合わせて手足を動かし、踊りの基本的な動作を取り入れた運動をすることで、腰のストレッチや筋力トレーニングも行えるよう工夫してある。徳島県は2型糖尿病などの生活習慣病対策として、この体操を活用している。

運動を気軽に始めるきっかけに

阿波踊り体操の男踊りは、腰を落とした姿勢でつま先から着地した足を引き戻す動作が特徴となり、女踊りは、腰を引き上げる動作と手を高く上げる動作が特徴となる。
 阿波踊り体操は、子供から高齢者まで楽しめる「基本編」と、いすに座ったままできる「シニア編」の2種類がある。ともに前半はストレッチ中心で、後半に阿波踊りをイメージした動きが続き、最後は自由に踊れるという構成になっている。

 「基本編」は3分30秒、「シニア編」は3分45秒で一巡する。34の動作で構成されおり、女踊りのように手足を高く上げたり、男踊りのように腰を低く落としたりする動きを取り入れてある。飽きずに運動を続けられるよう、変化に富んだ内容になっている。

 田中教授は「体操なら誰でも阿波踊りの楽しい気分を体験できる。気軽に運動を始めるきっかけにして欲しい」と話している。ももを上げたり腰を落としたりする動きをすることで、大腰筋といった大きい筋肉を使う。「筋力を向上させると内臓脂肪を減らしやすくなる」という。

 厚生労働省は2006年に、「健康づくりのための運動指針」をまとめ、運動の強度を示す「メッツ」という単位で、必要な運動量を示した。座って安静にしている状態が“1メッツ”、歩行は“3メッツ”。阿波踊り体操は“4〜5メッツ”になる。

 愛好者の輪は徳島県だけでなく国内外にも広がっている。体操の講習を受け指導員になってもらい地域や職場などで広く普及させようと、徳島大学主催の指導者養成講座を始めた。徳島大学開放実践センターで7月28日から8月11日までの毎週月曜日に開催された。

 外国人向けの英語版パンフレットも作成した。きっかけとなったのは、田中教授が昨年、米国ロサンゼルスで開催された市民向けの催事でこの体操を紹介したこと。現地の県人会だけでなくロス市民も飛び入り参加するなど好評だったという。パンフレットではなじみのない外国人のために、阿波踊りを「徳島で生まれた有名で由緒ある踊り」と紹介している。

糖尿病死亡率が15年ぶり改善 ワースト1位から脱却
 徳島県の糖尿病死亡率は、1993年から14年続いて全国ワースト1位だった。40歳以上の県民の4人に1人が糖尿病患者か予備群。県と県医師会は2005年11月に「糖尿病緊急事態宣言」を出し、対策に本腰を入れた。

 原因は運動不足と食べすぎ。県の調査によると、県民平均の1日の歩数は男性 6500歩、女性 5900歩と、全国平均より1000歩も少ない。BMI(肥満指数)が25以上の肥満の割合も、男性38%(全国28%)、女性26%(同22%)と高かった。

 有病者数を7%減らし「糖尿病死亡率全国最下位からの脱出」をめざし、県民の食生活や運動習慣を改善しようと、さまざまな対策を行っている。06年1月に医療や福祉関係者による「みんなでつくろう!健康とくしま県民会議」を設立。阿波踊り体操や県産食材を活用した「ヘルシー阿波レシピ」を考案するなど、官民一体となった健康づくりを推進している。

 その成果があらわれ、県の2007年の糖尿病死亡率(10万人当たり)は14.2人で全国ワースト6位に改善されたが、依然として全国平均(11.1人)を大きく上回っている。

阿波踊り体操・ヘルシー阿波レシピ(徳島県)
体操の模範演技のビデオを見ることができる。
健康徳島21-2007改定版-(徳島県)
徳島大学 大学開放実践センター

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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