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2008年06月12日

水中ウォーキングは週2回で効果的 雨の日も楽しくできる

キーワード
運動療法
 糖尿病の運動療法では、効果的な有酸素運動としてウォーキングを勧められることが多いが、梅雨など天候が悪い時季は、続けるのが難しくなる。
水中運動はひざや腰への負担が少ない
 運動習慣のない人が急に運動を始めると、関節や筋肉がその負荷に耐えられず、ひざや腰に痛みを感じるなど、思わぬ怪我をすることもある。

 自治体などが実施した運動指導プログラムの参加者を対象に、健康・体力つくり事業財団が行った調査で、運動を途中で中止した人にその理由を尋ねた。運動をやめた理由は、運動中に腰やひざに痛みを感じ、続けることができなくなり中止せざるをえなかったというものが大多数だった。

 そういう人に勧められる運動として「水中ウォーキング」がある。水中ウォーキングは、室内プールなどで水の中を歩くこと。水中ウォーキングには陸上での運動に比べ、水の浮力により腰やひざへの負担を減らすことができるメリットがある。

 水の抵抗力を利用しながら体を動かすので、運動量も多い。水中での運動や体操は、陸上での速歩(95〜100m/分程度)と同等の身体活動量を得られる。運動の効果を期待でき、筋力と心肺機能を同時にトレーニングできる

 息継ぎなどの技術が必要な水泳と異なり、誰でも手軽に楽しめというメリットもある。屋内のプールであれば、雨の多い梅雨の時季も続けられるし、晴れた日は紫外線や汗が気にならない。

水中運動のメリット

浮力  水中では浮力が働くので、水位へそまであると体重は陸上のおよそ半分になる。関節や筋肉にかかる負担が軽くなり、足腰に痛みがある人や肥満の人でも無理が少なくなる。
水圧  水深1mのところでは1cm²当たり100gぐらいの水圧がある。適度な水圧があると血液の循環が良くなる。肺活量も陸上の8割から9割に減るので、呼吸機能を鍛えることもできる。
 水の抵抗はあらゆる方向からかかるので、全身の筋肉をバランスよく鍛えられるというメリットもある。
水温  水中では陸上に比べ熱伝道が速い。約30%早くからだが冷えるので、体温を一定に保とうする体のはたらきでエネルギーの消耗が増す。そのぶん消費エネルギーが陸上よりも増える。
水中ウォーキングを続け体重が5kg減った人も
 水中ウォーキングは1人でもできるが、いっしょに取り組める仲間を作ると長続きしやすい。ウォーキング専用のレーンのあるプールが増えており、気軽に始められる環境が整ってきた。水中運動の教室を開く自治体は増えており、スポーツクラブでも中高年向けのコースが増えている。

 山梨県韮崎市は、市民を対象に水中ウォーキングを取り入れた健康プログラムを実施した。市町村の国民健康保険が国の助成を受けて実施した、2型糖尿病など生活習慣病の予防を促す「国保ヘルスアップ事業」の一環として行った。

 プログラムでは、水中ウォーキングを取り入れた運動プログラムを週に1回から2回実施した。参加者は40人(男性2人、女性38人)、平均年齢は62歳だった。肥満指数(BMI)の平均が25.6、血圧の平均は最高血圧が140mmHg、最低血圧が80mmHgで、肥満や高血圧の人が多かった。

 半年後のプログラム終了時に検査したところ、参加者の平均体重は61kgから59.87kgに減っていた。平均最高血圧も130mmHg程度まで下がった。

 水中ウォーキングを始めてしばらくすると筋肉がつきはじめる。筋肉がつくと基礎代謝も向上するので、続けていると体重は次第に減少していく。プログラムが終了してからも水中ウォーキングを続けた人のなかには、1年後に体重が5kg近く下がった人もいる。

 参加者を対象にしたアンケートでは、「肩こりや腰・ひざの痛みがとれた」「不眠が解消した」とった積極的な意見が多数を占めた。水中ウォーキングに対する参加者の評判は高く、プログラム終了後も続けている人も多いという。

自分のペースで運動を続けることがポイント
 水中ウォーキングをはじめるとき、どんな点に注意すればいいのか。自治体や健康保健組合、企業などの健康増進事業を多数手がけている健康運動指導士で、「健康創研」の代表を務める菅野隆さんは、「最初はやや楽に感じる、もの足りない程度からスタートし、徐々に時間などを伸ばしていくことがコツです」と、無理をしない範囲で楽しく続けると運動の効果が高まることを強調している

 「水中での運動は、ふわふわして体が軽く感じ、気持ち良いので、時間、強度が過負荷になってしまうこともあります。運動習慣のない高齢の方や、からだに自信のない方は、最初は無理はしないことが大切です」。

 「最初にストレッチでウォーミングアップを必ずして、1回20分程度から始め、1回30〜40分程度の歩行を週2〜3回、3カ月以上続けると、ダイエットや腰痛、膝痛の解消、心身のリラクゼーションなどに効果が期待できます。もちろん十分な水分摂取もお忘れなく」

 腰痛などのある人の場合は、歩くときの水圧で腰がそり、かえって悪化させてしまうリスクがある。歩くときにしっかり腹筋を使って、腰をそらさないことがポイントになるという。慣れてきたら歩くペースを速める、手足を大きく動かす、手を開いて水の抵抗を増やすなどの工夫をすると、運動の負荷を調整できるようになる。

参考ページ
健康創研 | 日本医療・健康情報研究所
健康増進のための運動プログラムの開発、エビデンスに基づく運動指導や教材の制作などの活動を行っている。
平成19年度 健康増進施設に関する実態調査事業((財)健康・体力つくり事業財団)
にこにこ健康づくり(山梨県韮崎市)

糖尿病や肥満と運動の関連について、下記ページで詳しく解説している。
糖尿病セミナー-運動療法のコツ(1) [基礎]
メタボビクス・ウォーク(メタボリックシンドローム・ネット)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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