ニュース

2008年04月11日

体重は標準でも体脂肪率の高い人が半数以上 米研究報告

キーワード
糖尿病と肥満
 BMI(肥満指数)*による判定だけでは、2型糖尿病や心疾患のリスクを知るには不十分という知見が米国で発表された。

 この調査発表は、米メイヨークリニック(ミネソタ州)によるもの。標準体重とされた米国の成人の半数以上は体脂肪率の高い「隠れ肥満(Normal Weight Obesity)」で、その多くに血中脂質異常や代謝異常のある可能性があるという。
体重は標準でも「肥満」が半数以上
 この研究では、第3回米国民健康栄養調査(NHNES)に参加した2,127人の検査データをもとに、特に心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームの危険因子に着目した。

 BMIで標準体重と判定された人で、体脂肪率が男性20%以上、女性30%以上を「隠れ肥満」とした。隠れ肥満に相当する体脂肪率を示した人は61%に上った。血液検査ではコレステロールや、脂肪組織から分泌され食欲を調整するレプチンなどの異常も高い比率で認められた。

 メイヨークリニック研究チームのFrancisco Lopez-Jimenez博士(心臓病)は「肥満を実質的に判定するためには体脂肪をみることが求められる。体脂肪の高い‘隠れ肥満’という考え方は有効だ」と話している。標準体重の人でも体脂肪が高い場合があり、内臓や肝臓などに脂肪がつきやすい人もいる。そうした場合、2型糖尿病を発症したり、心臓病につながるリスクが高まるとしている。

 この知見は、シカゴで開催された米国心臓学会(ACC)年次集会で発表された。心臓病は欧米で主な死因となっている。心臓病の発症や予防のために、世界中で検査法などについての研究が行われており、次のことが求められている。
・リスクを判定するためのより有効なツールの設計
・リスクを減らすための公衆衛生プログラムの改善
・心臓病患者のためのより優れた臨床的なリハビリテーション・プログラムの設計

メイヨークリニック(ニュースリリース・英文)

*肥満の程度による日本とWHO基準の比較
 BMI(ボディーマスインデックス)は、肥満の程度を表す指標。日本肥満学会の基準ではBMI25以上を肥満と判定するが、WHOの判定基準ではBMI30以上を肥満と判定し、25.0以上30.0未満だとOverweight(過体重)と判定する。
 日本人では欧米と比べ肥満が少ないが、BMI25程度で体脂肪や、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝が増え、高血糖や高血圧、心疾患などのリスクが高くなるので、BMI25以上を肥満としている。

BMI値日本肥満学会基準  WHO

18.5未満  低体重  Underweight
18.5以上 25.0未満  普通体重  Normal
25.0以上 30.0未満  肥満(1度)  Overweight
30.0以上  肥満(2度)  Obese

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲