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2006年01月19日
新しい「運動基準」策定へ(2) 運動強度を示す単位「MET」
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- 運動療法
厚生労働省が準備を進めている新しい「運動所要量・運動指針」が、平成元年の運動所要量と異なるのは、身体活動量、運動量、体力(最大酸素摂取量)の基準値を示したことにある。
健康を維持するための目標となる基準値は以下の通り― ―
METと消費エネルギーの関係
最大酸素摂取量の基準値とその範囲
健康づくりのための運動基準・指針(厚生労働省)
第2回運動所要量・運動指針の策定検討会
身体活動量と運動量の基準値は、「MET(Metabolic Equivalent)」という運動強度を示す単位ではかられる。安静に座ったままテレビなどを観賞しているときを1METとし、平地を普通に歩いたり部屋の掃除などをしていると3METsといったように、安静時の運動量の倍数でさまざまな運動が数値で表される。このMETの値に運動時間を掛けたものが「METs・時」。
普通に歩くなど日常的な運動の強度は3METs程度。健康維持のための運動は3METs以上であることが望ましい。ストレッチや運動は2.5METsで、運動としては数値が十分に高くない。どのような運動をすると3METs以上になるか、下の図が参考になる。
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(1)身体活動量:週23METs・時
強度が3METs以上の運動を1日当たり約60分行う。ウォーキングであれば1日当たり8,000〜10,000歩に相当する運動を毎日続ける。
(2)運動量:週4METs・時
例えば、ウォーキング(速歩)や水中運動では約60分に相当する。
主な活動時におけるMET値
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METと消費エネルギーの関係
METは、運動によるエネルギー消費量を、座位安静時代謝量(酸素摂取量で約3.5mL/kg/分に相当)で割ったもの。したがってMET・時と体重から、下式のように消費エネルギーを計算することができる。
エネルギー消費量 = MET・時 × 体重(Kg) × 1.05
最大酸素摂取量の基準値とその範囲
体力については個人差が大きく、遺伝的素因も大きいことから、運動基準では体力(最大酸素摂取量)の基準値を性・年齢別に策定された。
最大酸素摂取量は、持続して高ければ高いほど運動の効果も強まる傾向があるので、基準値の低い人でも、できるだけ高い水準をめざすことが勧められる。
最大酸素摂取量の基準値とその範囲
基準値
範囲
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(mL. kg-1.分-1)
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健康づくりのための運動基準・指針(厚生労働省)
第2回運動所要量・運動指針の策定検討会
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日本医療・健康情報研究所
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