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2022年06月29日

「ホエイプロテイン」は糖尿病のコントロールに有用 食後の血糖値上昇を抑える

 食事の前に「ホエイプロテイン」を摂取することで、食後の血糖値が上がりにくくなるという研究が発表された。

 ホエイプロテインは、牛乳由来のタンパク質。牛乳に含まれているタンパク質のうち、およそ20%がホエイプロテインだ。「乳清」とも呼ばれており、ヨーグルトなどにも含まれる。

牛乳由来のホエイプロテインが食後高血糖を抑制

 食事の前にタンパク質を少量摂取すると、2型糖尿病の人の血糖コントロールに役立つという研究を、英国のニューカッスル大学が発表した。牛乳などに含まれる「ホエイプロテイン」を摂取することで、食後の血糖値が上がりにくくなるという。

 ホエイプロテインは、牛乳由来のタンパク質。牛乳に含まれているタンパク質のうち、およそ20%がホエイプロテインだ。

 「ホエイ」は、「乳清」とも呼ばれており、ヨーグルトなどにも含まれる。ヨーグルトの上澄みにできる液体がホエイ。

 牛乳やヨーグルトなどの乳製品に含まれるタンパク質には、必須アミノ酸がバランス良く含まれているが、とくにホエイプロテインは低カロリーで、体内への吸収が早いとされている。

食事前にホエイプロテインを摂取すると血糖コントロールが改善

 試験には、平均年齢50歳の2型糖尿病患者18人が参加した。参加者は、飲み薬のみで治療を受け、1~2ヵ月の血糖値の平均をあらわすHbA1cの平均は7.4%だった。

 研究グループは、参加者を2つのグループに分け、1週間をかけて、1つめのグループにはタンパク質15gが含まれるホエイプロテインを、朝食・昼食・夕食の各10分前に摂取してもらった(ホエイプロテイン群)。2つめのグループには、ホエイプロテインを摂取せず、同じ食事をしてもらった(対照群)。

 持続血糖モニター(CGM)で1週間の血糖値をモニタリングした結果、食事の前にホエイプロテインを摂取すると、血糖値が正常に(70~180mg/dL)におさまった時間が1日に2時間増えた。24時間の血糖値の平均も、ホエイプロテイン群は対照群に比べ10.8mg/dL低かった。

ホエイプロテインがインクレチンの分泌を刺激

 「ホエイプロテインは2つの方法で有益な働きをすると考えられます。1つは、食物が消化・吸収される速度を遅くし、食後の血糖値の上昇を抑えること、もう1つは、血糖値の上昇を抑える多くの重要なホルモンの分泌を刺激することです」と、同大学の人間栄養研究センターおよび糖尿病研究グループの主任研究員であるダニエル ウェスト氏は言う。

 「インクレチン」は、食事をして糖などが吸収されると、小腸から出てくるホルモンで、膵臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を増やす。近年広く治療に使われるようになったインクレチン製剤は、このインクレチンのなかでもGLP-1の体内での働きに着目してつくられた糖尿病治療薬だ。

 食事の開始時にタンパク質を摂ることで、血糖値を下げるインクレチンの分泌を刺激できると考えられている。

 日本でも、野菜や魚料理・肉料理などから食べはじめ、ご飯・パン・ポテト・パスタなどの炭水化物を食べるのを最後にし、食後の血糖値の上昇(血糖値スパイク)を抑える、「食べる順番を調整する」食事療法が開発されている。

ホエイプロテインのより大規模な試験を計画

 「2型糖尿病とともに生きる人の数は世界的に急増しており、糖尿病をコントロールするために、食事などの効果的な方法が求められています。ホエイプロテインは普及しており、最近は入手しやすくなってきました」と、同大学のキーラン スミス氏は言う。

 「ホエイプロテインの利点を確かめるために、より大規模な試験が必要となりますが、ホエイプロテインを栄養補助食品として利用する新たな食事療法の開発に期待しています」。

 研究グループは、今回の研究よりもさらに期間が最大6ヵ月長い、より大規模な試験を計画している。また、大豆・エンドウ豆・プレバイオティクスなどの植物性タンパク質や代替タンパク質についても研究をする予定だ。

Protein supplement helps control Type 2 diabetes (ニューカッスル大学 2022年5月27日)
Thrice daily consumption of a novel, premeal shot containing a low dose of whey protein increases time in euglycemia during 7 days of free-living in individuals with type 2 diabetes (BMJ Open Diabetes Research & Care 2022年5月26日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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