ニュース
2021年11月04日
糖尿病に対してポジティブな視点をもつことも大切 「治療を自分自身の成長の機会に」
「2型糖尿病患者における人生の前向きな志向(将来展望)の保有と継続治療との関連性」についての研究の成果を、ノボ ノルディスク ファーマが公表した。
調査は、福島県郡山市の市民を対象としてたもの。「糖尿病になっても人生を豊かに送ろう」という前向きな志向が、治療の継続を後押しすることが示された。
「治療を自分自身の成長の機会と捉える」といった前向きな視点をもっていることが大切だという。
調査は、福島県郡山市の市民を対象としてたもの。「糖尿病になっても人生を豊かに送ろう」という前向きな志向が、治療の継続を後押しすることが示された。
「治療を自分自身の成長の機会と捉える」といった前向きな視点をもっていることが大切だという。
糖尿病とともに、どのような人生を作り上げていきたいか?
2型糖尿病患者の「将来展望」とは、人生全体を見通してどのように糖尿病と付き合っていくか、そして、どのような人生を作り上げていきたいかをさすもの。将来展望は、一般的な「治療目標」よりも、幅広い「何のために治療に努めるのか」という1人ひとりの価値観を反映しているといえる。
同社は、2018年から福島県郡山市および福島県立医科大学(医学部衛生学・予防医学講座)と産学官連携で、「郡山市を日本一健康な都市にする」という理念のもと、「郡山市における糖尿病対策についての共同研究」に取り組んでいる。
この共同研究は、同市での糖尿病対策の実践的指針を見出すことを基本方針とし、糖尿病治療状況に影響を与える同市特有の社会、文化、環境要因を把握することが、同市でより効果的なアクションプランの作成につながり、ひいては糖尿病性腎症等の合併症の重症化予防に貢献するという考えのもと行われている。
糖尿病の治療中断に影響を及ぼす要因を探るとともに、15地区の特性を知るための調査(インタビュー調査、アンケート調査、データベース解析)を実施している。
今回の研究では、同市に在住する2型糖尿病患者106人に対する、大規模な対面式のインタビュー調査を行い、「何のために治療をしていますか?」などの内容を尋ね、治療の先にある将来展望について調べた。
糖尿病の「将来展望」 当事者意識をもつことが大切
インタビューした内容から類似したものをまとめてカテゴリーにし、治療継続状況との関連性を検証したところ、次のことが明らかになった。
「2型糖尿病患者であるという自己認識をもって将来展望を描いている」ことが、継続的な治療につながる。
内容をより細かくみると、「社会的自立を保つ」ことや、「治療を自分自身の成長の機会と捉える」などの前向きな視点をもっていることが、「当事者意識」の醸成に関わっていることが示された。
これに対し、「自己認識をもてない(そもそも自分が2型糖尿病患者であると思えない)」や「破滅的な人生を歩むことが目的化している(暴飲暴食をやめられず、友人などもいない)」といった状態にあると、2型糖尿病患者としての当事者意識をもてず、治療中断とも関連してしまうことが示唆された。
今回の調査結果は論文にまとめられ、医学誌「Diabetes Therapy」に発表された。同論文の責任著者である福島県立医科大学医学部衛生学・予防医学講座の日高友郎氏は、次のように述べている。
2型糖尿病患者さんが治療をうまく継続できないときには、将来展望(何のために治療するのか)を描けていない可能性に留意する必要があります。
糖尿病の治療を継続するには、糖尿病になる前からの家族、友人関係、ならびに地域環境が重要な意味をもちます。したがって治療に希望がもてるように、さらにはこれからの人生を一緒に展望してもらえるような、良い人間関係や地域づくりに社会のリソースを使うことも大切になってきます。
こうした公衆衛生的な取り組みが、1人ひとりの健康を改善し、さらには地域全体を健康にします。医師や保健師が保健指導を行う際に今回の成果が生かされ、2型糖尿病患者の継続治療が促進されることを期待します。
分野を超えて官民パートナーシップで協力
ノボ ノルディスクは、糖尿病患者の3分の2が在住している都市環境での糖尿病の劇的な増加に対応するためのパートナーシッププログラムとして、「Cities Changing Diabetes(都市に蔓延する糖尿病の克服)」を世界の各都市で展開している。
市の指導者や省庁、学会、糖尿病協会、健康保険会社、コミュニティグループ、企業などを含む、100以上のローカルパートナーが、分野を超えた新たなかたちの官民パートナーシップで協力し、課題を特定し、新しい健康行動とポリシーを提供し、健康に影響を与える他の課題に関連づけている。
日本では、2018年から福島県郡山市および福島県立医科大学(医学部衛生学・予防医学講座)と、日本初となる「Cities Changing Diabetes」プログラムに取り組んでいる。2021年6月からは、千葉県旭市および千葉大学医学部附属病院ともプログラムに取り組んでいる。
これらのプログラムは、超高齢化が糖尿病増加のリスク因子になっているという日本特有の糖尿病増加の要因をふまえたものだ。
ノボ ノルディスク ファーマ
Qualitative and Quantitative Study on Components of Future Time Perspective and Their Association with Persistent Treatment for Type 2 Diabetes(Diabetes Therapy 2021年10月27日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
ライフスタイルの関連記事
- 【座談会】先生たちのSAP体験談2 インスリンポンプの新機能を使って
- 年齢を重ねることに前向きな人は糖尿病リスクが減少 こうすれば加齢に対してポジティブになれる
- タバコは糖尿病リスクを高める 禁煙すれば2型糖尿病のリスクが30~40%減少
- 「ノンアルコール飲料」を利用すると飲酒量が減少 お酒を減らすきっかけに 糖尿病の人は飲みすぎにご注意
- 生活を楽しめている人は認知症リスクが低い 糖尿病の人は認知症リスクが高い ストレスに負けず「楽しむ意識」を
- 年末年始は宴席やイベントの誘いが増える 実は誘いを断っても人間関係への影響は少ない
- 冬のお風呂は危険? 寒いと増える「ヒートショック」 糖尿病の人もご注意 7つの方法で予防
- 野菜や大豆などの「植物性食品」が糖尿病リスクを低下 植物性タンパク質をバランス良く食べると効果
- 糖質量からお店や商品が探せるアプリ「ドコカボ」〜開発者の赤坂さん夫妻に聞く[PR]
- 減塩は難しくない 糖尿病の人も減塩は必須 減塩の新しい考え方「かるしお」を提唱