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2020年06月12日
牛乳やヨーグルトが糖尿病・高血圧・メタボのリスクを低下 毎日摂ることが大切
牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品を食事で豊富に摂取すると、2型糖尿病、高血圧、肥満やメタボリックシンドロームのリスクが低下し、心臓病や脳卒中のリスクの低下を期待できることが、21ヵ国の10万人以上を対象とした調査で明らかになった。
「牛乳などの乳製品は、世界の多くの国や地域で安価に入手できます。乳糖不耐症やアレルギーなどがなければ、毎日2回以上は乳製品を摂ることが勧められます」と、研究者は述べている。
「牛乳などの乳製品は、世界の多くの国や地域で安価に入手できます。乳糖不耐症やアレルギーなどがなければ、毎日2回以上は乳製品を摂ることが勧められます」と、研究者は述べている。
牛乳やヨーグルトは健康増進に役立つ
6月1日は、国連食糧農業機関(FAO)が定めた「世界牛乳の日」だった。牛乳の栄養に対して世界的に注目が高まっている。
新型コロナウイルス感染症への対策として、休校や飲食店の休業が行われ、日本では牛乳の消費が減っている。給食向けや業務用の牛乳が行き場を失い、緊急事態宣言の解除後も本格回復はしていない。その中で北海道の生乳生産はピークを迎え、行き場を失う牛乳が増えると懸念されている。
一方で、牛乳、チーズやヨーグルトなどの乳製品が、健康増進に役立つことを示した研究は増えている。
牛乳には、タンパク質、脂肪、炭水化物、カルシウム、ビタミン類などの栄養素が豊富に含まれている。牛乳のタンパク質とカルシウムは、体に吸収されやすい良質な成分。また牛乳の炭水化物は乳糖で、カルシウムや鉄分の吸収を助け、腸内では善玉菌のエサにもなる。
牛乳は骨粗鬆症の予防・改善にも役立つ。成人に勧められる1日あたりのカルシウムの摂取量は700~800mg程度だが、日本人の平均的な1日あたりのカルシウム摂取量は500mg程度にとどまる。一般には牛乳200mL(カルシウム約200mg)を飲めば、必要量を満たすことができる。
関連情報
21ヵ国の10万人以上を調査
これまで行われた調査で、乳製品の摂取量が多いと、2型糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームのリスクが低下することが示されている。
しかし、その多くは北米や欧州が中心の調査で、世界の他の地域についての報告は少なかった。
そこでカナダのマクマスター大学などの研究グループは、大規模疫学コホート研究「PURE(Prospective Urban Rural Epidemiology)」に参加した21ヵ国35〜70歳の男女を対象に調査した。
対象となった国は、バングラデシュ、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コロンビア、インド、イラン、マレーシア、パレスチナ、パキスタン、フィリピン、ポーランド、南アフリカ、サウジアラビア、スウェーデン、タンザニア、ターキー、アラブ首長国連邦、ジンバブエの21ヵ国。
過去12ヵ月間の食事内容についてアンケート調査を行い、乳製品については、牛乳、ヨーグルト、ヨーグルトドリンク、チーズ、乳製品を使用した料理などを調べ、全脂肪乳または低脂肪乳の摂取についても調べた。
低脂肪乳は、生乳から乳脂肪分の一部を減らし、低脂肪にしたもの。調査では乳脂肪分を1~2%のものを低脂肪乳とした。
その結果、1日あたりの乳製品の摂取量の平均は179gで、全脂肪乳が124.5g、低脂肪乳が65gを占めていた。
乳製品がメタボのリスクを低下
乳製品が高血圧・糖尿病のリスクを低下
約19万人の健康状態を追跡して調査した研究では、平均9年間に1万3,640人が高血圧を発症し、5,351人が2型糖尿病を発症した。
乳製品をよく摂っている人では、高血圧と糖尿病のリスクも低下することが明らかになった。乳製品を1日2回以上摂取していると、高血圧と糖尿病のリスクが11〜12%低く、1日3回摂取していると13〜14%低かった。
無脂肪乳と低脂肪乳のどちらが有利なのかははっきりしなかった。牛乳や乳製品は、肥満だけでなく、うつ病や認知症の予防効果もあるという研究も報告されている。
なぜ乳製品を摂ると肥満や高血圧、2型糖尿病のリスクが低下するのか? 研究グループは「今回の調査は観察研究であり、原因を特定することはできません。また、メタボの変化は経時的に測定したものではありません」としながらも、「乳製品にこれらのリスクを低下させる栄養が含まれるている可能性があります。牛乳などの乳製品は安く手に入るので、毎日飲むことが勧められます」と述べている。
Dairy-rich diet linked to lower risks of diabetes and high blood pressure(BMJ 2020年5月18日)Association of dairy consumption with metabolic syndrome, hypertension and diabetes in 147 812 individuals from 21 countries(BMJ Open Diabetes Research & Care 2020年5月18日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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