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糖尿病3分間ラーニング
トマトのリコピンが糖尿病リスクを低下 血管を健康にする抗酸化作用
2019年08月09日
カテゴリー: ライフスタイル 食事療法 

 夏野菜の代表といえるトマトは、生で食べても加熱調理してもおいしく食べられる。野菜は低カロリーであるのに加え、ビタミンや食物繊維、体に良いリコピンやβカロテンが多く含まれ、中性脂肪やコレステロールを下げる効果を期待できる。
トマトは医師が食べている食品のトップ
 欧州には「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺がある通り、トマトには抗酸化作用のあるβカロテンやリコピン、ビタミンCなどの栄養素が多く含まれ、健康的な食品として知られている。

 ある医療サイトが医師を対象に行ったアンケート調査によると、医師が「健康のため積極的に食べている食品」の1位はトマト、2位はヨーグルト、3位は納豆だった。

 日本では生で食べることが多いが、世界にはうま味成分であるグルタミン酸を含むトマトをダシとしても使う料理も多い。イタリアやギリシャでは火を通してソースにして食べることが多く、長寿食として知られる「地中海式ダイエット」でもトマトが多く使われている。

 トマトソースは野菜や魚、パスタや肉とも相性が良く、メニューの幅が広がる便利なソース。イタリア・シチリア地方の家庭料理では、野菜を炒めてトマトでじっくり煮込んだ前菜「カポナータ」が定番になっている。

 できたてをすぐに食べてもおいしいが、冷めた状態でも野菜に味がしっかりしみこんでいるので、格別のおいしさを楽しめる。

関連情報
トマトには抗酸化作用のある栄養が豊富に含まれる
 トマトは野菜の中では糖度が高く、ビタミンA、Cを豊富に含む。また、トマトの赤い色素であるリコピン(カロテノイド)に抗酸化作用があり、生活習慣病の改善を促すとして注目をあびている。このリコピンは老化や生活習慣病の原因となる活性酸素を取り除く働きをする。

 リコピンの抗酸化作用は、ニンジンやカボチャ、ブロッコリーなどに含まれるβカロテンよりも作用が強いという報告がある。リコピンは比較的熱に強いので、ソースにすると体内への吸収がアップする。

 また、トマトをはじめとする野菜にはカリウムが多く含まれる。カリウムは体内の余分なナトリウムの排泄を促し、血圧を下げる効果があり、高血圧の予防に役立つ。

● トマトを食べると酸化LDLが低下

 トマトに含まれるリコピン、βカロテン、ビタミンEなどには抗酸化作用がある。トマトを食べることで、酸化LDLを減らせるという研究が発表されている。

 ニュージーランドのオタゴ大学の研究によると、2型糖尿病の人がトマトジュースを1日に500mL飲むと、血中のリコピンのレベルが3倍に上昇し、酸化LDLのレベルが低下した。また、イスラエルのベングリオン ネゲブ大学の研究では、高血圧の人がトマトを食べると血圧が低下した。

 悪玉のLDLコレステロールが活性酸素などによって酸化すると、酸化LDLになる。酸化LDLは超悪玉コレステロールともいうべきもので、血管壁を傷つけ、健康な血管がもっている血管拡張作用を損なう。また、酸化LDLが血管壁に沈着すると、コレステロールの蓄積をさらに促し、血管にプラークがてぎやすくなり、動脈硬化が引き起こされる。

● 慢性炎症を抑える

 2型糖尿病や肥満などの代謝性疾患や、動脈硬化や心臓病などの循環器疾患に共通する病態が「慢性炎症」。炎症があると、心臓病や脳卒中、心房細動などのリスクが上昇する。年齢を重ねるにつれ炎症は少しずつ進行するが、とくに内臓脂肪がたまると慢性炎症が起こりやすくなる。

 トマトを食べることで炎症を抑えられ、とくに肥満や過体重の人で改善効果が高いという研究が発表されている。

 イランのテヘラン大学の研究によると、肥満や過体重の女性がトマトジュースを1日に330mL飲むことで、血中のIL-8とTNF-αの濃度が低下した。これらは主な炎症マーカーで、体の中で炎症が起きていると値が上昇する。

 また、アイルランドのクイーンズ大学の研究によると、トマトのリコピンを摂取することで、善玉のHDLコレステロールの働きを高めるのに必要な酵素が増えていた。

● 心不全のリスクを低下

 トマトに含まれるリコピンが、心不全患者の生存率の向上させる。米国のケンタッキー大学が心不全患者212人を対象に行った研究で、トマトのリコピン摂取量が多いほど生存率が向上することが明らかになった。リコピンの摂取量が少ない患者は、リコピンの摂取量が多い患者と比較して、死亡リスクが3.3倍に上昇した。

● 脳卒中のリスクを低下

 トマトに含まれるリコピンは、脳卒中のリスクも低減する。フィンランドの46~65歳の1,031人の男性を12.1年追跡した研究で、トマトからのリコピンの摂取量が多い男性では、少ない男性に比べ、脳卒中のリスクが最大で55%低下した。
トマトをオリーブオイルで調理すると健康効果が高まる
 トマトに含まれるリコピンには加熱に強く油に溶けやすい性質がある。「地中海式ダイエット」ではトマトとオリーブオイルを使ったソースが料理の基本になっている。トマトとオリーブオイルを同時に摂取すると、動脈硬化が引き起こす心筋梗塞などの心血管疾患の予防効果を得られるという研究が発表された。

 スペインのバロセロナ大学医学部の研究チームは、平均年齢28歳の男女40人を3つのグループに分け、▽生のトマトを体重1kgあたり7.0g、▽トマトソースを体重1kgあたり3.5g、▽オリーブオイルで調理したトマトソースを体重1kgあたり3.5gを摂取してもらった。食前と食後6時間後に血液を検査し、心血管疾患への影響を比較した。

 その結果、オリーブオイルで調理したトマトを食べた場合に、総コレステロール値がもっとも低下することが明らかになった。オリーブオイルとトマトを同時に摂取すると、総コレステロール値が9.03mg/dL低下し、悪玉のLDLコレステロール値は2.00mg/dL低下し、善玉のHDLコレステロール値は2.36mg/dL増加していた。
ソースにすると多く摂取できる
 オリーブオイルには一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸が豊富に含まれ、コレステロール値を下げる効果がある。オリーブオイルとトマトのリコピンを同時に摂取すると、相乗的に効果を発揮しコレステロール値が下がりやすくなり、リコピンの体への吸収も高まる考えられている。

 「地中海式ダイエット」は、野菜や魚をたくさんとり、オリーブオイルをふんだんに使うのが特徴だ。「地中海式ダイエット」が伝統になっている地域で心筋梗塞などの心血管疾患を発症する人が少ないのは、トマトとオリーブオイルを十分に摂取しているからだ。

 健康増進の効果を得られるトマトの摂取量は1日に250~500g(2~3個)だ。「トマトは火を通してソースにすると多く摂取できます。トマトを毎日摂ることを習慣とすることをお勧めします」と、研究者は述べている。

Effect of supplementation with tomato juice, vitamin E, and vitamin C on LDL oxidation and products of inflammatory activity in type 2 diabetes(Diabetes Care 2000年6月)
Natural antioxidants from tomato extract reduce blood pressure in patients with grade-1 hypertension: a double-blind, placebo-controlled pilot study(American Heart Journal 2006年1月)
Tomato juice consumption reduces systemic inflammation in overweight and obese females(British Journal of Nutrition 2013年6月)
Lycopene intervention reduces inflammation and improves HDL functionality in moderately overweight middle-aged individuals(Journal of Nutritional Biochemistry 2013年1月)
Higher dietary lycopene intake is associated with longer cardiac event-free survival in patients with heart failure(European Journal of Cardiovascular Nursing 2013年8月)
Serum lycopene decreases the risk of stroke in men: A population-based follow-up study(Neurology 2012年10月)
Tomato Sauce Enriched with Olive Oil Exerts Greater Effects on Cardiovascular Disease Risk Factors than Raw Tomato and Tomato Sauce: A Randomized Trial(Nutrients 2016年3月16日)
[ Terahata ]
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