ニュース
2018年05月17日
体重コントロールを成功させるシンプルな方法 必要なことは1つだけ
体重をコントロールするために必要なことは、流行しているダイエット法に飛びつくことではなく、自己観察と規則正しい食事スタイルを続けることだという研究を、フィンランドのヘルシンキ大学が発表した。
ダイエットは失敗するものだと思った方が良い
ヘルシンキ大学の研究チームは、1975〜79年に生まれた平均24歳の男性2,227人と女性2,452人を対象に、10年以上追跡調査を行い、生活スタイルと社会的背景と体重の変化との関連を調査した。
「多くの人は、加齢に伴う体重増加に頭を悩ませています。食事や運動によってコントロールしようと試みますが、短期的にはうまくいっても、長期的には失敗することの方が多いのです」と、ヘルシンキ大学の栄養セラピストであるウア カーキンナン氏は言う。
研究の参加者のほとんどは、10年間に体重を増やした。24歳から34歳にかけて、体重を男性は平均して1.0kg、女性は0.9kg増やした。減量に成功したのは男性ではたった3.8%、女性では7.5%だった。
男女とも体重コントロールに影響しやすいのは、食事スタイルと運動を定期的に行う習慣だった。
男性では、体重を増やしやすい要因は、不規則な食生活、ダイエットの失敗経験、研究開始時にすでに体重が多いこと、教育歴が短いことなどだった。
女性では、2人以上の子どもがいること、高カロリーの食品の摂取や間食、生活満足度が低いことなどが、体重増加と関連があった。
関連情報
体重減少に必須なのは毎日の食生活を客観的にみること
「体重増加を効果的に防止するために、体重コントロールの基本に立ち返る必要があります」と、カーキンナン氏は言う。
食事のエネルギー摂取量が身体活動量を上回っていると、体重は増える。そのため食事ガイドイランのほとんどは、体重が増えるのを防ぐために、食事の量を適正に管理し、運動の量を増やすことを推奨している。
健康的な食生活と運動が基本であることには間違いはない。しかし、今回の長期にわたるポピュレーション研究によると、体重コントロールを成功させるためにより重要なことは、毎日の食生活をよく観察し、食べ過ぎにつながる習慣を徐々に変えていく工夫を長期にわたり維持することだという。
自分の生活スタイルを見直し、何が体重増加につながっているかに気付くことが、ダイエットの成功につながる。食事日誌などをつけるとさらに効果的だ。
体重コントロールの解決策は共通している
規則正しい食事スタイルを身につけるための近道
メディアで「効果的」と謳われているダイエット法の多くは、長期にわたり実行するのが難しいものがある。
「低炭水化物ダイエット」「ケトン体ダイエット」「地中海式ダイエット」「超低カロリーダイエット」など、さまざまなダイエットが流行したが、一時的に体重を減らすことはできても、それを維持するのが難しいという現状が浮かび上がった。
「食事は続けられることが大切です。体重コントロールに成功した人は、毎日の食事で何が体重増加につながるのかを見極めて、それを改善できた人です。一言でいうと、"規則正しい食事スタイル"を続けることが成功するための近道なのです」と、カーキンナン氏はアドバイスしている。
ほぼすべての成人は、体重をコントロールするたけに、なんらかのダイエットに取り組んでいる。フィンランド保健福祉研究所の調査によると、人口が550万人のフィンランドで、年間100万人が食事療法を行っているという。
「体重コントロールを成功させる秘訣は、個人の生活スタイルの違いに着目することです。視野を広くもって理解することが、より良い生活を実現するために、利益をもたらします」と、カーキンナン氏はアドバイスしている。
Searching for long-term success in weight management? Forget dieting and eat regularly(ヘルシンキ大学 2018年3月20日)Successful weight maintainers among young adults--A ten-year prospective population study(Eating Behaviors 2018年4月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
ライフスタイルの関連記事
- 【座談会】先生たちのSAP体験談2 インスリンポンプの新機能を使って
- 年齢を重ねることに前向きな人は糖尿病リスクが減少 こうすれば加齢に対してポジティブになれる
- タバコは糖尿病リスクを高める 禁煙すれば2型糖尿病のリスクが30~40%減少
- 「ノンアルコール飲料」を利用すると飲酒量が減少 お酒を減らすきっかけに 糖尿病の人は飲みすぎにご注意
- 生活を楽しめている人は認知症リスクが低い 糖尿病の人は認知症リスクが高い ストレスに負けず「楽しむ意識」を
- 年末年始は宴席やイベントの誘いが増える 実は誘いを断っても人間関係への影響は少ない
- 冬のお風呂は危険? 寒いと増える「ヒートショック」 糖尿病の人もご注意 7つの方法で予防
- 野菜や大豆などの「植物性食品」が糖尿病リスクを低下 植物性タンパク質をバランス良く食べると効果
- 糖質量からお店や商品が探せるアプリ「ドコカボ」〜開発者の赤坂さん夫妻に聞く[PR]
- 減塩は難しくない 糖尿病の人も減塩は必須 減塩の新しい考え方「かるしお」を提唱