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2017年07月05日

血糖コントロールを改善するのは、考えている以上に簡単なこと

第77回米国糖尿病学会学術集会
 糖尿病を改善し、腎臓病や網膜症、心臓病などの合併症を長年抑えるために必要なのは、(1)医師から処方された薬を指示通りにきちんと飲むこと、(2)運動を週に4回以上続けること、(3)体重を適正にコントロールすることだという研究が発表された。
指示通りの薬の服用、運動と体重のコントロールが重要
 指示された治療薬の服薬を80%以上守り、週に4回以上の運動を行い、体重を適正に管理している患者は、血糖コントロールが良好であることが新しい研究で明らかになった。この研究は医学誌「American Journal of Pharmacy Benefit」に発表された。

 米国糖尿病学会(ADA)によると、血糖コントロールを適切に行うことで、腎臓病、網膜症、心臓病などの合併症を引き起こす危険性は減少し、入院や死亡などの事態になる可能性も低下する。しかし実際は、米国には約2,900万人糖尿病有病者がいて、治療を受けている患者でも21%は血糖コントロールが十分ではないという。

 調査は、米国の大手の医療保険会社であるカイザーパーマネンテに加入しており、オレゴン州とワシントン州南西部に在住している2型糖尿病患者約2万人を対象に行われた。対象者の1万5,891人がHbA1cが8.0%未満、3,709人がHbA1cが9.0%より高かった。

 研究チームは、カイザーパーマネンテの独自の電子医療記録システムを使用して投薬の遵守率を追跡した。多くの研究では、アンケート調査で患者に薬を服用しているかを調べているが、今回の研究はもっと信頼性の高い情報をもとにしているという。

 「電子カルテを見れば、主治医は患者に運動しているかどうかを尋ね、それを医療記録にその場で記録できます。患者が糖尿病やコレステロール、高血圧の治療薬をどれくらいの指示通り飲んでいるかが素早く分かります」とカイザーパーマネンテのデビッド モーゼン氏は言う。

 「指示された薬を飲まない患者のほとんどは、"薬を飲みたくない"と思い意図的に飲まないのではありません。ただ単に忘れてしまうだけです。医者や医療スタッフは、患者に(1)薬をきちんと飲むこと、(2)運動量を増やすこと、(3)体重を適正にコントロールすること――という3つのことを、患者が理解できるように分かりやすく説明する義務があります」と、内分泌学者のハリー グラウバー氏は言う。

 「糖尿病の医療や治療薬、糖尿病ケアは年々進歩していますが、治療のアウトカムを改善するためには、どんな患者でもシンプルなことを積み重ねることから始めることが必ず必要になります」と強調している。
小さな失敗は誰にでもある
 研究チームはいくつかの大規模調査をもとに、不十分な血糖コントロールと密接に関連する要因を特定した。その結果、(1)経口糖尿病治療薬を80%以上服用している患者は、80%以下に服用した患者と比べ、血糖コントロールが不十分である可能性が46%低くなることを見出した。

 同様に、週に4回以上運動をしている患者は、週に3回以下しか運動していない患者に比べ、血糖コントロールが不十分である可能性が25%低いことも判明。

 さらに、BMI(体格指数)が30以上の肥満の患者は、肥満でない患者に比べ、血糖コントロールが不十分である可能性が18%高いことも分かった。

 「薬をうっかり飲み忘れてしまうことは誰にでもあります。必要なのは、薬を飲み忘れたことを認識し、今後はきちんと服用することを考え、そのために何が必要かを検討することです」と、モーゼン氏は言う。

 「小さな失敗は誰にでもありますが、それを改善するために小さな努力を積み重ねた人と、放っておいた人では、長期間には大きな差が出てきます。ご自分の生活に何が問題が、改善するために何が必要かをときどき考えてみることをお勧めします」と指摘している。

Controlling Blood Sugar May Be Easier Than You Think(カイザーパーマネンテ 2017年6月13日)
Assessing the Association Between Medication Adherence and Glycemic Control(American Journal of Pharmacy Benefit 2017年6月13日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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