ニュース
2016年12月20日
1型患者さん手記 「更年期障害をインスリンポンプ療法で乗り越えて」
- キーワード
- 1型糖尿病 インスリンポンプ/CGM 医薬品/インスリン
神戸大学医学部附属病院 糖尿病内分泌内科・廣田勇士医師のもとへ通うkumiさん(49歳・女性)は37歳で1型糖尿病を発症しました。当初、血糖値の乱高下がひどく、重症低血糖による意識喪失が頻繁にあり大変困っていたそうですが、出産を機にインスリンポンプ療法に出会い症状は落ち着きます。その後、更年期障害の影響と思われる予測不能な低血糖に悩まされるようになりました。
生理の始まる日の24〜36時間前に突然インスリンの効きが良くなり( ベーサル・ボーラスともに)、運動効果も加わって、意識が喪失するというアクシデントが頻発するようになったのです。そこで2014年10月から、女性ホルモンの変化による予測不能な低血糖での意識喪失を防ぐ治療として、CGM付きのインスリンポンプ「SAP」を使用することになりました。
投稿者:kumiさん(49歳、女性、1型糖尿病)
閉経に向けてSAPをつけてからは同じことが起こっていてもアラートやアラームが事前に知らせてくれますので、女性ホルモンの影響かどうかわからなくても、とにかく急降下している現実は知らせてくれるので、迅速に低血糖対策ができるようになりました。そんな過去の様々な経験値とSAPのアラーム音が私のQOLを見事に高め、社会復帰を実現してくれました。
女性ホルモンの影響で起こる予測不能の低血糖も体感やセンサーグルコース値、アラーム音でブドウ糖とベーサルダウンを使って事前に対処できるようになりました。今、SAPの優れた機能を充溢できるのはペン治療ではできない長時間投与や少量の投与が可能になったことを経験したからだと思います。
※SAPとは?
「SAP」(Sensor Augmented Pump)は、インスリンポンプに「パーソナルCGM」(Continuous Glucose Monitoring)機能を搭載したシステム。患者さん自身で血糖変動を随時確認できることが大きな特徴。CGMトランスミッタ(送信器)と通信することにより、パーソナルCGMとしても使用でき、毎日のCGMグラフや血糖値の平均値、アラームの発生回数を最大3カ月間記録。センサグルコース値が一定の範囲を超えて上昇また低下するとアラート(音やバイブでお知らせする)機能がお知らせ。予期せぬ高血糖や低血糖への早期対応がしやすくなる。
1型糖尿病の関連記事
- 世界初の週1回投与の持効型溶解インスリン製剤 注射回数を減らし糖尿病患者の負担を軽減
- 腎不全の患者さんを透析から解放 腎臓の新しい移植医療が成功 「異種移植」とは?
- 【1型糖尿病の最新情報】幹細胞由来の膵島細胞を移植する治療法の開発 危険な低血糖を防ぐ新しい方法も
- 若い人の糖尿病が世界的に増加 日本人は糖尿病になりやすい体質をもっている 若いときから糖尿病の予防戦略が必要
- 【1型糖尿病の最新情報】iPS細胞から作った膵島細胞を移植 日本でも治験を開始 海外には成功例も
- 1型糖尿病のランナーが東京マラソンを完走 CGMとインスリンポンプを組み合わせたシステムでより活動的に
- 運動に取り組み糖尿病を改善 血糖値が下がりすぎる低血糖にもご注意 1型糖尿病の人に最適な運動法は?
- 「スマートインスリン」の開発が前進 血糖値が高いときだけ作用する新タイプのインスリン製剤 1型糖尿病の負担を軽減
- 1型糖尿病の子供たちはメンタルヘルス上の問題を抱えることが多い ケアが必要
- 糖尿病の医療はここまで進歩している 合併症を予防するための戦略が必要 糖尿病の最新情報