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2016年09月01日
日本初“足と糖尿病の専門病院”が誕生! 下北沢病院
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どこで治療を受けられるのか、迷っている
例えば歯が痛くなったとき、どこに行けば治療してもらえるのかを知らない人はいない。答はもちろん歯科。ところが、足の裏が痛む、爪が変形してしまっている、傷の治りが悪い、足のウオノメやタコ、外反母趾など足のトラブルが起きたとき、果たして何科に行けばよいのだろうか?
実は、これらの足の病気やトラブルをすべて診てもらえる診療科は、現状では日本には存在しない。海外では、例えば口の中の病気を専門とする歯科医のように、足の病気を専門に診る「足病医」が存在する国もあるが、日本にその制度はない。また、足にちょっとしたトラブルを抱えた患者さんも、そもそもそれを医療機関で診てもらうような「病気」だとは思わない傾向がある。これらの結果として、足にトラブルを抱えた患者さんの多くがそれをがまんしていたり、あるいは病気が進行して“手遅れ”になってから受診するようなケースが少なくない。
それでもこれまでは、このことが大きな問題にはならなかった。日本ではもともと欧米に比べると、清潔好きの国民性や屋内では靴を履かない習慣などのために足のトラブルが少なかったことや、足のトラブルの最大の原因である糖尿病が最近まではそれほど多くなかったためだ。
しかし近年、その状況が大きく変化している。人口の高齢化に伴い足の血管の病気が増加傾向にあり、なによりも糖尿病が急増している。糖尿病による足の潰瘍・壊疽のために、足を切断せざるを得なくなるケースも珍しいことではなくなっていきている。
このような変化に対し、医療現場の対応は追い付いていない。足の病気をなんとかしなければいけないと思う医師は増えてはいるが、足の治療には、形成外科、血管外科、整形外科、内科、皮膚科など複数の診療科を横断する技術が必要であり、かつ、医師だけでなく、フットケアを担う看護師、足を守る装具を作る義肢装具士など、実に多くのマンパワーが必要となる。現在ようやく地域ごとに、病病連携、病診連携によって、治療する体制が整い始めているところだ。
これら病病連携、病診連携などの診療連携ももちろん有効な仕組みではあるが、患者さんが複数の医療機関へ入院・通院しなくてはならないことや、治療のスピードを確保しにくくそれが予後に影響する可能性もあること、主治医がはっきりしなくなることなどが未解決の問題として残されている。
このような背景から、できる限り一つの医療機関内で、足の病気やトラブルの治療をすべて完結できる施設の誕生が望まれていた。その必要性に応えて新規開設されたのが、下北沢病院「足病総合センター」だ。
下北沢病院(理事長:久道勝也氏、院長:菊池守氏)は2016年8月にリニューアルオープンし、現在、一般病棟31床、 回復期リハビリテーション病棟22床、手術室2室、透析台数3台などがあり、診療科目として整形外科、形成外科、末梢血管外科、糖尿病内科、循環器内科、リウマチ科、皮膚科、リハビリテーション科を標榜している。
「足病総合センター」を開設し、整形外科の菊池恭太氏がセンター長を務める。菊池氏のほかに血管外科、糖尿病内科、形成外科などの医師に加え、看護師、理学療法士、義肢装具士、管理栄養士などのスタッフが一体となり、足に特化した診療体制を組んでいる。対象疾患は、足底やかかとの痛み、巻き爪、水虫、タコ、ウオノメ、外反母趾、偏平足、リウマチによる変形、糖尿病による潰瘍、血流障害などのために治りにくい傷、静脈瘤、色素沈着など、足の病気やトラブルのすべて。「足のことならなんでも診る」というスタンスで診療にあたる。
これまで診療所レベルでは、足に特化した施設も開設され始めているが、治療に必要とされる多数の診療科を擁する病院として足に特化した施設は同院が初めてで、日本初の“足の総合病院”と言える。外来は月〜金曜の午前・午後と土曜の午前で予約制。
また同院は5月に「糖尿病センター」も開設した。センター長は富田益臣氏。富田氏は東京済生会中央病院で長年、糖尿病診療、特に糖尿病足病変に力を入れた診療を続けてきた。下北沢病院 糖尿病センターでも足病総合センターと連携して‘足の切断ゼロ’を目指すという。
一方、糖尿病は足病の最大の危険因子であるだけでなく、神経や眼、腎臓、心臓、脳など全身に合併症を起こす病気であり、その治療にはやはり多くの診療科の力が必要とされる。そこで同院 糖尿病センターでは、糖尿病腎症の進行予防、減量プログラムの提供、睡眠時無呼吸症候群の治療など、糖尿病関連疾患を幅広く診療する体制を整え、積極的な合併症予防“Aggressive prevention”の実践や、1型糖尿病患者へのインスリンポンプ療法などにも力いれていく。
糖尿病患者の頭のてっぺんから足の爪先までを、一か所の施設で安心して診てもらえる心強さが、下北沢病院の特徴といえそうだ。
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