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2016年03月04日
【糖尿病学の進歩】 食事療法の最新情報 個別対応がポイント
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第50回糖尿病学の進歩
2月19日~20日に東京国際フォーラムで開催された第50回糖尿病学の進歩(世話人:内潟安子・東京女子医科大学糖尿病センターセンター長)で、シンポジウム「食事療法の最新情報」が開催された。
2月19日~20日に東京国際フォーラムで開催された第50回糖尿病学の進歩(世話人:内潟安子・東京女子医科大学糖尿病センターセンター長)で、シンポジウム「食事療法の最新情報」が開催された。
栄養指導ではこれまで「外来栄養食事指導料」は130点だったが、2016年度診療報酬改正において「初回 260点」「2回目以降 200点」に引き上げられる。これにより多様な疾患の患者に対して食事を通じた適切な栄養管理を推進することが期待されている。
食事療法に実施可能な個別対応が求められている
帝塚山学院大学の津田謹輔氏は「食事療法に関する最近の動向」と題し講演した。糖尿病治療のガイドラインは変化しており、食事療法にも変化がみられる。肥満患者では摂取エネルギーを減らして体重減少をはかることが推奨されるなど変わらない部分があるものの、全ての糖尿病患者に対する三大栄養素の適正比率はないとも指摘されており、個々の患者の食習慣や代謝目標をもとに、実施可能な個別対応の食事が求められるようになってきた。
一方、日本人の食事内容の変化と食べ方にも変化が起きている。外食の機会が増え、加工・調味食品の消費増加、食事にかける時間の短縮など食の外部化、簡便化が進行している。「食生活は国や地域の影響を強く受けており、個人だけでなく国や地域での対策も必要になっている」と津田氏は言う。
また、DPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬などの登場は食事療法にも大きく影響しており、「薬が進歩しているのだから薬物療法だけでHbA1c7%をめざしてはいけないのか」と問う患者も少なくないという。
「糖尿病の薬物療法は1型、2型ともに食事療法と運動療法と合わせて行うのが基本。両方を励行しない患者が薬物療法を開始すると、目標の血糖コントロールに到達できないケースが多い」と津田氏は指摘。たとえHbA1cやGAが改善したとしても、過食や運動不足が持続している例に薬剤療法で血糖を下げても、余分な糖質や脂質が体脂肪として蓄積され、次第に体重増加をきたすことになるという。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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