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2016年03月04日

【糖尿病学の進歩】 薬物療法の最前線 血糖降下薬のグッドチョイス

第50回糖尿病学の進歩
 2月19日~20日に東京国際フォーラムで開催された第50回糖尿病学の進歩(世話人:内潟安子・東京女子医科大学糖尿病センターセンター長)で、シンポジウム「2型糖尿病に対する薬物療法の最前線」が開催された。
経口血糖降下薬のグッドチョイス 血糖コントロールを超えて
 福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科の野見山崇氏は「糖尿病患者の未来を護る経口血糖降下薬のチョイス〜beyond the BG control〜」と題し講演。2型糖尿病の治療薬として1980年代まではインスリン治療とビグアナイド薬、SU薬による治療しか選べなかったものが、1990年代に入りαグルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン誘導体、グリニド系薬剤が使用可能になり、21世紀に入りDPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬が使用可能になり、今日の糖尿病診療は一変した。

 インクレチン関連薬が使用できるようになってから、β細胞保護をふまえて、より安全に血糖コントロールできるようになってきた。他の経口血糖降下薬やインスリンなどの併用可能になったことで、それまで難渋していた症例への新たな治療が可能になり、患者の生活の質と寿命を確保するという目標に寄与しえる薬剤選択が視野に入ってきたといえる。

 DPP-4阻害薬は肥満を助長しにくく、低血糖を起こしにくいという特徴から、糖尿病治療の主軸を担う薬剤となっている。野見山氏らは2012年にDPP-4阻害薬が痩せ型で罹病期間が短い日本人2型糖尿病患者で有効であることを明らかにした(Diabetes Res Clin Pract. 2012 Feb; 95(2): e27-8)。DPP-4阻害薬を投与し動脈硬化の進展を抑制することで、将来の心血管イベントの発症を予防できる可能性を示した日本発の知見も示された(Diabetes Care. 2016 Jan; 39(1): 139-48)。

 「DPP-4阻害薬の適応が広がる理由のひとつは、一部が腎機能や肝機能が低下した意者にも投薬可能であることだが、DPP-4阻害薬は薬剤間で構造式が大きく異なり、心不全のリスクをはじめとした安全性に違いが有ることが最近の臨床試験で明らかにされつつあり、注意深く選択する必要がある」と野見山氏は指摘する。

 また、メトホルミンは古くから使用されている安価で使用しやすい抗糖尿病薬であるが、日本で750mg/日を超えて使用が可能になったのはつい最近のことだ。グルカゴンシグナル抑制作用など新たなメカニズムも解明されつつあり、有効性が大きく見直されている。野見山氏はメトホルミンを第一選択薬として治療された2型糖尿病患者はSU薬を投与された患者に比べ心血管イベントが有意に少ないこと(BMC Endocr Disord. 2015 17;15:49)や、モデル動物においてインクレチンとメトホルミンの併用が相乗効果でがんを抑制すること(PLOS One 2015 6; 10(10): e0139709)を明らかにした。

 グリニド薬やαグルコシダーゼ阻害薬は食後高血糖をターゲットとした薬剤で、血糖変動が重要視される近年の糖尿病診療では重要な役割を担っている。グリニド薬の中ではグルカゴンに対する作用に違いがあり、ピオグリタソンはアディポネクチンを上昇させる経口血糖降下薬であり、血管保護作用も臨床研究で報告されている。

 さらに、最も新しいクラスの経口血糖降下薬であるSGLT2阻害薬はさまざまなな懸念もあったが、現在はもっとも注目されている薬剤だ。EMPA-REG OUTCOMEではSGLT2阻害薬が主要エンドポイント心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)を有意に減少させ、特に心血管死が約4割も減少したことが示され(N Engl J Med. 2015; 373:2117-2128)、注目されている。

記事全文は「糖尿病リソースガイド」でご覧ください

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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