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2015年09月10日
朝食を抜くと血糖値が上昇しやすくなる 朝食はもっとも重要な食事
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糖尿病患者が朝食をとらないと、血糖コントロールにどう影響するかを調査した研究は少ない。今回の研究では、朝食をとらないことが、その後の食事後の血糖値の急な上昇(食後高血糖)につながるだけでなく、その日のインスリン反応が悪くなることが示された。
この研究はイスラエルのテルアビブ大学糖尿病ユニットのダニエラ ヤクボウィッチ教授らの研究チームによるもので、米国糖尿病学会(ADA)が発行する医学誌「Diabetes Care」に発表された。
「朝食をきちんととることが減量につながり、体重コントロールに良い影響が出ることを示した研究は多くあります。しかし、朝食をとらないことが、その日の血糖コントロールにどう影響するかを調べた研究はあまり知られていません」と、ヤクボウィッチ教授は言う。
「結果として、朝食をとらないことが、その日の昼食や夕食の後の血糖値の急な上昇をまねき、1~2ヵ月の血糖値の平均を示すHbA1cの悪化につながることが示されたのは注目に値します」(ヤクボウィッチ教授)。
その結果、朝食を抜いた日の血糖値のピークは、昼食後268mg/dLで、夕食後は298mg/dLだった。これに対して、朝食を食べたときの昼食および夕食後の血糖値のピークは、それぞれ192mg/dL、215mg/dLで、血糖値の急な上昇が抑えられていた。さらに、インスリン分泌のピークは、朝食を抜くと30分遅れることが判明した。
「朝食を抜くことは健康的でないことが実証されました。朝食を抜いただけで、グルコース代謝の低下が引き起こされます。糖尿病患者が朝食を抜くと、たとえ昼食と夕食の炭水化物の量を減らしたとしても、血糖値の上昇を抑えることはできないでしょう」と、ヤクボウィッチ教授は説明する。
そのため、昼食を抜くと、昼食後にβ細胞がインスリンを分泌する機能を回復するために時間がかかるという。インスリン反応に低下と遅延が起こり、結果として1日の血糖値が上昇しやすくなる。
さらには、前日の夕食から昼食までに空腹の時間が長く続くと、血中の遊離脂肪酸が増加し、血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなる可能性があるという。
「今回の研究で、朝食を抜くことがβ細胞の機能に大きなダメージを与える可能性があることが示されました。たとえ昼食と夕食で食べ過ぎなかったとしても、朝食を抜くと高血糖になりやすくなるのです。"朝食を抜かない"という食事スタイルを、2型糖尿病患者さんにお勧めします」と、ヤクボウィッチ教授は言う。
研究チームは、インスリン治療が不可欠な1型糖尿病患者でも、朝食をとることが血糖コントロールにどう影響するかを調べる研究も計画している。
Diabetics Who Skip Breakfast Provoke Hazardous Blood Sugar Spikes(テルアビブ大学 2015年7月28日)
Fasting Until Noon Triggers Increased Postprandial Hyperglycemia and Impaired Insulin Response After Lunch and Dinner in Individuals With Type 2 Diabetes: A Randomized Clinical Trial(Diabetes Care 2015年7月28日)
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