ニュース
2015年07月31日
運動不足でテレビ視聴時間が長い人はご注意 認知症リスクが上昇

テレビの1日の視聴時間が長く、運動不足の生活スタイルが若い頃から続いている人は注意が必要だ。そうした人は中年以降に認知能力が低下しやすく、認知症のリスクが上昇するという調査結果が発表された。
この研究は、北カリフォルニア教育研究所(NCIRE)のティナ ホアン氏らが、米国のワシントンDCで開催された国際アルツハイマー病学会の学術集会で発表したもの。
米国の運動ガイドラインでは、18~64歳の成人はウォーキングなどの適度な有酸素運動を週に150分以上、あるいは筋力トレーニングなどを取り入れた活発な運動を75分以上行うことが勧められている。
しかし、米国疾病予防管理センター(CDC)の調査によると、推奨された量の運動を実際に続けている人は5人に1人だという。
運動不足は過体重や肥満につながり、2型糖尿病や心筋梗塞などの心疾患の発症リスクを高める。今回の研究では、運動不足が認知症などの脳の疾患にも悪影響をもたらすことが明らかになった。

それから30年後の現在、48~60歳となった3,200人の参加者を対象にふたたび、生活スタイルのアンケート調査と、作業の記憶、実行能力、処理速度などを測る認知機能テストを行った。
調査の結果、18~30歳の時点からずっとテレビの視聴時間が長かったり、運動不足の生活を続けたりしている人は、認知能力が低下しやすいことが明らかになった。
「テレビの視聴時間が1日に4時間を超えている」という条件が当てはまる人は11%、「座ったまま過ごす時間が長く、低強度の身体活動を1日に50分しか行わず、消費カロリーが300kcal以下」といった条件が当てはまる人は17%、両方が当てはまる人は3%だった。
2つの条件は揃う人では、そうでない人に比べ、認知機能の低下が2倍以上認められることが判明した。
運動を習慣として続けると、体重の増加が抑えられ、内臓脂肪が減る。筋肉量を増やすことで、体の基礎代謝が向上する。さらにインスリン抵抗性が改善し、血管の状態が良くなり、炎症や酸化ストレスの影響も少なくなる。
「若い頃から座ったまま過ごす時間が長く、運動不足の生活スタイルを続けている人は、年をとってから認知機能の低下が起こりやすいことが明らかになりました。体を動かす時間の減少は脳の老化につながります」と、ホアン氏は言う。
現代人は、テレビやスマートフォン、インターネットなどの画面を見て過ごす時間が長い生活をおくっており、運動不足に陥りやすい。
アルツハイマー病などの認知症を予防するためには、運動や身体活動の減少を防ぐことが必要だ。運動不足を減らす習慣は、若い頃に始めるとそれだけ効果があることが判明した。
40歳を過ぎて運動をする習慣のない人は、年をとってから認知症を発症するのを防ぐために、すぐにでもウォーキングなどの運動をはじめた方が良い。
糖尿病合併症の関連記事
- 運動と健康的な食事の組み合わせで効果は最大に 内臓脂肪が減り転倒も防止 女性にも運動が必要
- 魚を食べている人は糖尿病リスクが少ない 魚は脳の健康にも良い 中年期の食事改善は効果が高い
- テレビの視聴時間を減らすと糖尿病リスクは減少 遺伝的リスクのある人も心臓病や脳卒中を予防できる
- 朝食をしっかりとると糖尿病が改善 血糖管理に大きく影響 朝食で「お腹ポッコリ」肥満を予防
- 糖尿病の人は脳卒中リスクが高い 血糖値を下げれば脳卒中を予防できる ストレス対策も必要
- 「超加工食品」の食べすぎは糖尿病リスクを高める 筋肉の質も低下 「自然な食品」はリスクを減らす
- ウォーキングなどの運動で糖尿病リスクを減少 余暇時間の運動が寿命を4.5年延ばす 仕事の後は体を動かす習慣を
- 腎不全の患者さんを透析から解放 「異種移植」の扉を開く画期的な手術が米国で成功
- 【世界肥満デー】内臓脂肪が増えると糖尿病リスクは上昇 肥満は脳のインスリンの働きを低下 認知症リスクが増加
- ウォーキングなどの運動で糖尿病など19種類の疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防