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2015年06月04日
食事療法を成功させる3つの条件 「便利」「魅力的」あと1つは?
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その条件とは、(1)便利であること(Convenient)、(2)魅力的であること(Attractive)、(3)日常的であること(Normal)。頭文字をとって「CAN」が揃うと、食事内容は改善しやすいと、コーネル大学のブライアン ワンシンク教授は指摘する。
一般的に、人は食事内容を決めるとき、直感的に食品を選んでいる。食事をコントロールしている人でも、何を食べたらよいか、どれだけ食べれば良いかを、ゆっくりと分析している余裕はない。「健康によい食品を選ぶための環境を整えることが成功への近道です」と、ワンシンク教授は言う。
また、野菜を冷蔵庫の奥にしまうよりも見えるところに置くほうが、便利なだけでなく魅力的な選択肢となる。食品の魅力には見た目や入手しやすさなどの因子も関わってくる。
「試しに野菜売り場で10分を過ごしてみてください。これにより、多く野菜や果物が魅力的に見え、購入しやすくなります」と、ワンシンク教授は言う。
袋詰めのサラダを活用する方法も有効だ。泥がついた新鮮な野菜を買って調理するのがベストなのは分かっていても、野菜を洗って、切ってというプロセスは思いのほか面倒だ。
袋詰めのサラダであれば、手軽に作れて時間の節約にもなる。食品を日常的なものにするためには、果物や野菜は生でなくてはならないという思い込みを捨て、缶詰や冷凍も利用する方法も効果的だ。

ワンシンク教授は、子どもたちが学校で野菜を育てることで関心を高め、野菜の摂取量が高まることを実験で明らかにした。食品を魅力的に見せ、日常的なものにするために、ガーデニングは効果的な方法だ。
ニューヨーク州北部の学校で、子どもたちが学校菜園で育てた野菜を使って給食のサラダを作ったところ、子どもたちの野菜の摂取量が4倍以上に増加することが判明したという。
子どもたちが自分で作った野菜を使ったサラダバーが提供されることで、サラダを選択する生徒の割合は、2%から10%へと上昇したという。全体としてのサラダ消費量は、1日当たり5サービングから12サービングへと上昇した。
食事にちょっとした工夫を加え、月に25日以上続けることができれば、体重コントロールにかなりの確率で成功するという。
ワンシンク教授は504人の肥満や過体重の人を対象に実験を行った。上記のアドバイスを実行した人の42%が減量に成功し、27%は体重を維持していたという。減量幅がもっとも大きかったのは、アドバイスを月に25日以上実行し続けた参加者だった。
「適切な食事のアドバイスを得られれば、食事のコントロールは難しくありません」と、ワンシンク教授は指摘している。
The CAN Approach to Healthier Eating(コーネル大学食品ブランド研究所 2015年4月29日)
Mindless Eating
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