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2014年11月20日
適度なアルコールは健康に良い ただし健康効果を得られるのは一部
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研究チームは、冠動脈疾患の患者618人と健康な人3,000人の遺伝子を調べ、さらに飲酒量に応じてグループ分けして、冠動脈疾患と飲酒量との関係を調べた。
その結果、適量の飲酒によって冠動脈疾患のリスクが減っていたのは、「CETP TaqIB」と呼ばれる遺伝子型をもっている人達だけであることが判明。CETP TaqIBは以前の研究で、飲酒の健康効果に関与していることが明らかにされている。
「適量の飲酒だけ、あるいはCETP TaqIBをもっているだけでは、強い予防効果はありません。2つの条件が組み合わさってはじめて、冠動脈疾患のリスクが有意に下がります」と、イエテボリ大学のローレン リスナー教授は話す。
このCETP TaqIBをもっているのは全体の15%程度とのこと。つまりワインを飲んで心臓病になりにくくなるのは、20人に3人だけということになる。
研究チームは、このような結果になった理由として次の2つの仮説を示している。
ひとつは、アルコールが何らかのかたちで「CETP」(コレステロールエステル輸送タンパク質)に影響しているという説。HDLコレステロールには血管から過剰な脂質を取り除く作用があり、有益な効果をもたらす。
もうひとつの仮説は、ワインに含まれるポリフェノールに血管の保護作用のある抗酸化作用があるという説。CETP TaqIBをもっている人では、この作用があらわれやすくなると考えられている。
「適度なアルコール摂取が、全ての人に健康効果をもたらすと一般的に理解されていますが、必ずしもそういうわけではありません」と、イエテボリ大学のダッグ セレ名誉教授は説明している。
「メカニズムが解明されれば、遺伝子検査で誰が幸運な15%に入るのかを判別するのは可能になります。しかし、もっとも大事なことは、心臓病を予防するためには、アルコールをほどほどに留めておくことです」と述べている。
Moderate Drinking is Healthy Only for Some People(ヨーテボリ大学 2014年10月23日)
CETP TaqIB genotype modifies the association between alcohol and coronary heart disease: The INTERGENE case-control study(Alcohol 2014年11月)
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