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2014年10月20日
腎臓病の食事療法は難しくない 病態栄養セミナーの開催報告
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講演は第1部と第2部に分かれ、その間に武蔵野フーズが提供する宅配食サービス「健康宅配」ランチの試食会が開催された。

食事療法の目的は、腎臓病の進行を遅らせることと、体調を良好に保つことにある。透析導入前の保存期の患者であれば、食事療法によって腎不全への進行を遅らせることができ、透析導入を遅らせることができる。
当日は東京女子医科大学病院栄養管理部次長の立松栄次氏が「今後の展望 栄養食事指導のあり方について〜腎臓病・糖尿病腎症患者を中心に〜」と題し、また東京女子医科大学腎臓内科・看護学部内科学教授の荒井純子氏が「慢性腎臓病の食事療法−10のポイント」と題し、それぞれ講演を行った。
講演では、腎の働きと腎不全の病態、つまり腎不全とはどのような病気かということから入り、食事療法がなぜ重要で、どのようなことがポイントになるかが説明された。

腎臓病の食事療法のポイントとなるのは次の点だ――
■ タンパク質を摂り過ぎない
食事で摂取したタンパク質は、体内で代謝され、不要なものは老廃物となり血液中にたまる。血液は腎臓でろ過され、老廃物は尿として排泄される。タンパク質を摂りすぎると、老廃物が多くなり、腎臓への負担が増えてしまう。腎機能を保つためにも、タンパク質の摂取量を抑える必要がある。 しかし、タンパク質は体を構成する重要な栄養素でもあり、活動に必要な量を摂取する必要がある。このため、まったく摂らないというのではなく、主治医・管理栄養士から指示された量を守ることが重要となる。
■ エネルギーは適正量を十分にとる
食事でとるエネルギーが不十分だと、体内に蓄えられていたタンパク質を消費して補う。すると、筋肉などがエネルギー源として使用されるため、その代謝産物(老廃物)が多くなり、腎臓に過剰な負担がかかる。 糖尿病腎症の患者の場合、それまで行ってきたカロリーのコントロールに加えて、食塩制限とタンパク質制限も必要となる。それまでとは逆にカロリー摂取を増やすように指導されることが多い。
■ 塩分を控える
腎臓の機能が低下した状態では、塩分の排泄機能が落ちている。そのため塩分を摂り過ぎると、体内の塩分濃度が過剰となり、それを排泄させるために、腎臓の糸球体に過剰な負担がかかる。そして高血圧を引き起こし、腎機能の低下を早める原因となる。1日の食塩摂取量は6g未満に抑えることが理想的だ。
このほかに、腎臓の機能が低下すると体内に溜まりやすくなるカリウムやリンの摂取を制限したり、水分のコントロールも必要な場合がある。カリウムは野菜や果物、豆類などに多く含まれ、リンは乳製品などに多く含まれている。


しかし、低タンパク質でエネルギー量を適正にとる食事療法は、これまでの食事指導と大きく異なるところがあり、患者にとっては受け入れるのがなかなか困難だという。
これを解決するために、宅配食を取り入れる方法がある。具体的には、タンパク質を1日30〜50gに制限し、エネルギー、塩分、カリウムを調整した日替わりメニューの宅配食に置き換える。
腎臓病や糖尿病の食事療法について、頭では分かっていても、実践がともなわないという人や、忙しくて勉強している時間がないという人は多い。そんな人には、糖尿病治療食の宅配システムを利用し、専門家が作った本格的な治療食を在宅のまま手軽に体験する方法が効果的だ。
現在は、宅配食メーカーの努力によって、プロの管理栄養士によりエネルギー量や栄養のバランスが調整された治療食のメニューが豊富に用意されている。

「健康宅配」は、管理栄養士がバランスの良い献立を作り、味付けに改良が重ねられ、食材もエコファーマ認定を取得した指定農家から調達した野菜を使用するなど、工夫されている。
治療食は一般的には味が薄い料理が多いが、「健康宅配」は低塩分ながら満足できる、しっかりとした味作りが工夫されている。メニューも豊富で飽きがなく、毎日続けられる食事セットだ。
これまでに7万人以上が利用しており、当日の試食会でも「おいしいと思う」という感想が大多数を占めた。「健康宅配」は衛生管理が徹底された工場で製造されており、商品開発から製造、宅配まで一貫体制で提供されており、安全面でも高く評価されている。
宅配食は調理いらずで、面倒なタンパク質制限やエネルギー計算の必要もない。特に、食生活の改善を、「忙しいから」「難しいから」といった理由で避けてきた人たちにとっても、大きな助けとなる。摂取エネルギー量を満たす食材のボリュームや味付けなどを具体的に体験できる点では、宅配食は強力な「栄養教育」の教材となる。
宅配食を1〜2ヵ月間続ける、毎月10日間だけ利用してみるといった方法でも、ほとんどの人は治療食のノウハウをマスターして、無理なく安全に食事をコントロールすることが可能になる。
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