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2014年05月09日
緑茶やコーヒーが糖尿病リスクを低減 緑茶を2杯以上飲むと効果
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緑茶やコーヒーを身近な嗜好品として楽しんでいる人は多い。その緑茶やコーヒーに、健康を増進する効果があるという研究が相次いで発表されている。糖尿病や脳卒中の予防効果があるという。
緑茶やコーヒーに糖尿病や脳卒中のリスクを低減する効果がみられる理由は、はっきりと分かっていないが、研究者は、緑茶にはカテキン、コーヒーにはポリフェノールであるクロロゲン酸が含まれることを指摘している。 緑茶に含まれるカテキンには、抗酸化作用、抗炎症作用、抗血栓作用などの、血管を保護する効果がある。また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸にも抗酸化作用があり、動脈硬化などの予防に有効であると考えられている。
緑茶を飲み続けると血糖値が低下
ペンシルヴァニア州立大学農学部の研究チームは、マウスを使った実験で、緑茶の成分を摂取すると糖尿病と関連のある検査値が低下することを確かめた。
糖尿病のマウスに緑茶の抽出物を摂取させ、運動をさせたところ、16週間後に、体重は27.1%、腹部脂肪は36.6%減少した。空腹時血糖値は17%低下し、インスリン値も65%低下し、インスリン抵抗性は65%減少したことが明らかになった。
緑茶成分を摂取しなかったり、運動をしなかったマウスでは、体重や糖尿病の検査値の改善はみられなかった。マウスが摂取した緑茶の量は、人間では1日8~10杯に相当するという。緑茶を多めに飲む人の摂取量に近い量だ。
緑茶にはカテキンや天然の抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれる。マウス以外の動物実験でも、緑茶のポリフェノールに肥満を予防する効果があることが確かめられている。
「緑茶には糖尿病を改善する効果があることが明らかになりました。ただし、運動をしなければ、緑茶の成分をいかすことはできません。運動と緑茶の摂取の両方を行うことが重要です」と、同大学のジョシュア ランベルト准教授(食料科学)は言う。
今回の実験では、カフェイン抜きの緑茶を使用したが、緑茶にはカフェインも含まれる。このカフェインの作用も無視できない。カフェインには身体のエネルギー消費を促す作用があるからだ。マウスにカフェインのみを摂取させた実験では、基礎代謝が向上し、エネルギー消費が増えることが確かめられた。
コーヒーの糖尿病の発症を予防する効果
緑茶やコーヒーを飲む習慣があると脳卒中リスクが低下
国立循環器病研究センターなどの研究チームは、緑茶やコーヒーに脳卒中リスクを低減する効果があることを、8万人以上の研究調査であきらかにしている。
脳卒中のリスクは、毎日2~3杯の緑茶を飲んでいる人では14%、4杯以上の緑茶を飲む人では20%、ほとんど飲まない人に比べて減少した。また、毎日1杯以上のコーヒーを飲んでいる人は、ほとんど飲まない人に比べて、脳卒中のリスクが20%減少した。
毎日1杯以上のコーヒーや2杯以上の緑茶を飲む人は、どちらの飲料もほとんど飲まない人に比べて大脳内出血のリスクが32%減少した。大脳内出血は血管が破裂して脳内で出血することで起こる。
「毎日の食事に緑茶やコーヒーを加えることで、脳卒中のリスクは減少します。ささやかでも前向きな生活スタイルの変化といえます」と研究者は述べている。
Research suggests that green tea, exercise boost weight loss, health(ペンシルヴァニア州立大学 2014年4月2日)Increasing daily coffee consumption may reduce type 2 diabetes risk(ハーバード公衆衛生大学院 2014年4月24日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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