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2014年02月17日
魚を食べて脳卒中と心臓病を予防 日本人を20年以上調査
魚介類に含まれる「DHA(ドコサヘキサエン酸)」や「EPA(エイコサペンタエン酸)」などの不飽和脂肪酸を多く摂取している人ほど、脳卒中と心臓病による死亡リスクが低くなることが、日本人を対象とした24年にわたる研究で明らかになった。
日本人は世界的に魚介類をもっとも多く食べている国民であり、ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」は、魚系が主菜の中心となっている。魚を多く食べている日本人で、脳卒中と心臓病による死亡が少ないことが、20年以上の長期に及ぶ調査で判明したのは初めてのことだ。 「毎日サンマ1尾程度の魚介類から脂肪酸を摂取することで、将来の脳卒中や心臓病を予防できる可能性が示されました」と、研究者は述べている。
魚を取り入れた和食中心の食生活はメリットが多い
この研究は、厚生労働省研究班が全国で実施している長期追跡研究(コホート研究)である「NIPPON DATA(ニッポンデータ)研究」の成果のひとつ。1980年に実施された「国民栄養調査」に参加した30歳以上の成人男女のち、脳卒中や心筋梗塞などを発症したことのない9,190人(男性 4,028人、女性 5,162人、平均年齢 50.0歳)を、2004年まで24年間にわたり追跡して調査した。
魚介類に多く含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」と「DHA(ドコサヘキサエン酸)」の合計摂取量で、参加者を4群に分けた。1日の摂取量は、もっとも少ない群でサンマ4分の1尾程度に相当する0.42g、もっとも多い群でサンマ1尾弱に相当する1.72gだった。
24年の期間中に、879人が循環器疾患(脳卒中または心臓病)で死亡。EPAとDHAの摂取量のもっとも少ない群を基準としたところ、もっとも多い群で死亡率は20%低くなった(ハザード比0.80、95%信頼区間 0.66-0.96)。
魚介類から脂肪酸を多く摂取していると循環器疾患の死亡リスクが低下する傾向は、30〜59歳の働き盛りの世代で特に強く示された。また、日本人は魚を多く食べており、今回の調査では、もっとも摂取量の少ない群でも米国の平均摂取量の約2倍をとっていたという。
サンマなど青背の魚に含まれる「DHA(ドコサヘキサエン酸)」や「EPA(エイコサペンタエン酸)」は、「n-3系不飽和脂肪酸」に分類され、悪玉のLDLコレステロールを減らしたり、動脈硬化などを抑える作用があることが報告されている。
「魚介類からとる脂肪酸が多いほど脳卒中の死亡リスクが低くなることが示された。若いころから魚介類を多く取る和食中心の食生活を続けることが、脳卒中や心臓病の予防につながるのではないか」と、研究者は話している。
この研究は、NIPPON DATA班研究代表で滋賀医科大学アジア疫学研究センター長の三浦克之教授、同・宮川尚子特任助手らの研究チームによるもの。詳細は、欧州動脈硬化学会誌「アテロスクレローシス」2月号に発表された(Atherosclerosis 2014; 232(2): 384-389)。
滋賀医科大学NIPPON DATA 80/90(滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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