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2013年11月13日
インスリン治療を50年以上継続 第11回「リリー インスリン50年賞」
- キーワード
- 1型糖尿病

第11回となる今年は、男性4名、女性11名の合計15名が受賞し、うちの9名が表彰式に参加した。50年以上にわたる糖尿病やインスリン治療のみちのりを振り返りながら、糖尿病患者への励ましのメッセージを熱く語った。受賞者には、名前を刻印した純銀製のメダルと、世糖尿病デーのシンボルカラーの「青いバラ」が贈られた。

青木正子さん(1935年生まれ、長野県) | 上澤佳乃さん(1959年生まれ、東京都) |
近藤啓子さん(1949年生まれ、福井県) | 佐藤 正明さん(1934年生まれ、千葉県) |
西浦奈美代さん(1932年生まれ、東京都) | 溝口うめさん(1913年生まれ、愛知県) |
和田力雄さん(1944年生まれ、和歌山県) |
日本でインスリン自己注射の保険適用が始められたのは1980年代になってからのこと。受賞者がインスリン療法を開始した1960年代には、糖尿病患者は現在では考えられないような多くの困難を乗り越えなければならなかった。自宅でのインスリン自己注射は認められておらず、注射は原則として病院など医療機関で行わなければならなかった。
現在治療に使われている使いやすいペン型注入器や、注入器とインスリン製剤が一体になったキット製剤は当時はなかったので、当時は小さいガラス瓶に入ったバイアル製剤をガラス製の注射器に吸い出して注射を行っており、注射ごとに煮沸消毒も必要だった。初期のインスリン製剤は、作用時間が短いものしかなく、血糖降下作用を維持するために、日に何度も注射をしなければならなかった。
「インスリン治療を始めた当時は、注射針も注射器も自分で管理し、注射するたびに注射器と針を煮沸消毒する必要がありました。注射針は太く、長さは3cmありました。針を何度も使用するため、その痛みが辛くて大変でした」と、インスリン50年賞の受賞者のひとりは話す。
現在では、健康な人のインスリン分泌パターンを再現するために、多種多様なインスリン製剤が使われている。遺伝子工学の手法を用いることで、ヒトの膵β細胞が分泌するインスリンと、まったく同じ構造のヒトインスリン製剤が作れるようになった。イーライリリー社は、1982年に遺伝子組換えによる世界初の医薬品ヒトインスリンを発売した。
同社は1996年には超速効型インスリンアナログ製剤「ヒューマログ」を発売した。インスリン製剤の開発により、より生理的なインスリン動態に近づけることが可能となり、多くの糖尿病患者の血糖コントロールに役立てられている。
インスリン注射用の針も改良され、ほとんどの人は「注射していることさえも感じない」というほど、注射針は細く短くなった。現在、ペン型注入器に使われている注射針には、先端で0.23mmと驚異的に細く、長さも4mmと米粒ほどの大きさのものがある。
表彰式の挨拶で、田嶼尚子・東京慈恵会医科大学名誉教授は受賞者に祝辞を述べ、「インスリン治療を始めてから50年間糖尿病とともに歩んでこられた方々に深い敬意をあらわします。患者さんに寄り添ってまいりました医療者として、インスリン治療開始後50年を迎えられた患者さんが明るくて、前向きで、強い意志をもっていることに感銘をおぼえます」と述べた。
内潟安子・東京女子医科大学糖尿病センター長は、「インスリン50年賞を受賞された方々が1型糖尿病を発症した当時は、インスリン製剤は1mLあたり40単位で、現在の2.5倍を注射する必要がありました。食事や運動などの生活管理や注射のタイミングなど、患者さんの苦労ははかりしれないものがありました。そんな中で50年間継続してきたことに敬意をあらわします。今後、多くの方がインスリン50年賞を受賞することを願っています」と述べた。
Diabetes.co.jp(日本イーライリリー)
- リリーインスリン50年賞
関連情報
私の糖尿病50年-糖尿病医療の歩み(後藤由夫 先生)
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