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2013年08月14日
夏の水分補給が脳と心臓を守る 「水を飲む習慣」で予防
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- 糖尿病合併症
「夏に脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすい理由としてあげられるのが、体内の水分不足です。夏には汗を多くかくため、それに見合った量の水分を補給していないと、体が脱水症状に陥って、血流が悪くなったり、血液の塊である血栓ができやすくなります」と、米ウィリアム ボーモント病院のバリー フランクリン氏(循環器内科)は話す。
加齢とともに、誰でも動脈硬化が起こりやすくなるが、それを促進するのが肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病だ。「こうした病気をもっている人、あるいはその予備群の段階の人は、もともと脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高いだけに、夏には水分補給を十分に心がける必要があります」と、フランクリン氏は指摘する。
脳卒中には、脳の血管が破れる「脳出血」と、脳の血管が詰まる「脳梗塞」がある。脳卒中は冬に多いと思われているが、脳梗塞に限るとむしろ夏の発生数が多いという。
また、「心筋梗塞」は虚血性心疾患のうちのひとつで、冠動脈の血流量が下がり、心筋が虚血状態になり壊死、または壊死に近い状態になる疾患をいう。心筋梗塞は、血栓が心臓の冠状動脈を塞いでしまうことで起こる。
夏は温度が上がるため、体内の熱を発散しようと血管が拡張し、同時に血圧が低下する。汗をかくことで水分が不足して血液が濃くなり、血栓ができやすくなる。
夏に脳梗塞や心筋梗塞を防ぐために、フランクリン氏は次のことをアドバイスしている。「水分を摂取しても、体全体に浸透するまで約20分の時間がかかります。水を飲んでも、すぐに血液の流れがよくなるわけではありません。また、気付かないうちに、皮膚などからも水分は蒸発します。汗をかいていなくても、こまめに水分補給を行うことが大切です」としている。
とくに暑い夏は、就寝中に脱水が起こりやすい。眠っている間に平均するとコップ1杯(200mL)程度の汗をかいている。気温の高い夜には、それ以上の汗をかくことも多い。また眠っているときは、一般に血圧が低下するため、血栓ができやすい状態になっているという。
「予防のために、寝る前に水を1杯飲むようにしましょう。枕元に水を置いて、いつでも飲めるようにしておき、トイレに立った後などに少しでも飲むようにすると、睡眠中に汗で失った水分を補給できます。また、朝起きたときに水を1杯飲むことも、予防につながります」と、フランクリン氏はアドバイスしている。
ところが実際には、アルコール類やカフェインには利尿作用があるため、とくにアルコールは、飲んだ以上に尿となって水分が排出されてしまうケースが多い。
また、多くの場合、アルコールを飲むと一時的に血圧が少し下がり脈拍数が増加する。これは体内に吸収されたアルコールが代謝される過程でアセトアルデヒドが生じ、血液中に増加し血管を拡張するためだ。
しかし、アルコールの降圧作用は一時的なもので、飲み続けているとアセトアルデヒドが分解され血中濃度が下がり、血圧はむしろ上昇していく。飲酒量が多いほど、血圧は上昇しやすくなる。
アルコールは高血圧以外にも、心臓については心房細動など不整脈を誘発する。それだけにアルコールを飲むときは、飲み過ぎに気を付けることが必要だ。
Summer Tips for a Healthy Heart(米国心臓学会)
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